2018年7月の西日本豪雨は、広い範囲で同時多発的に起こった土砂災害で広島県南部の交通をまひさせた。孤立した呉を救え――。土砂に埋もれた国道31号の素早い復旧の裏には、組織の枠を越えた異例の連携プレーがあった。

 広島県南部の海岸線を走る国道31号。2018年7月の豪雨で土石流などが発生し、通行止めとなった。「復旧には相当の時間がかかる」。当初、被害を見た専門家の多くはこう口をそろえた。しかし、その予想はいい意味で裏切られることになる。国土交通省は国道脇にあった海水浴場の駐車場に臨時の迂回路を設ける異例の手法で、発災からわずか5日のうちに開通させた(写真1、2)。

写真1■ 被災直後のJR水尻駅付近の様子。信号機の下が埋もれた国道31号。山側からの土石流に、複数の車両がのみ込まれた(写真:国土交通省)
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写真2■ 国道31号に隣接する海水浴場の駐車場に整備された迂回路。撮影した2018年7月11日の深夜には一般車両に開放された(写真:国土交通省)
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 開通までの経緯を振り返る。18年7月6日夜、国交省中国地方整備局広島国道事務所には、前日から降り続く雨の影響で通行止めになった道路の報告が相次いだ。土砂崩落などが生じた箇所の先に続く道路を巡回できず、被災情報の収集すらままならない状況に、緊迫した空気が流れた(写真3)。

写真3■ 国土交通省中国地方整備局広島国道事務所で情報収集や復旧対応に追われる職員(写真:国土交通省)
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 翌7日の朝、事態は深刻さを増す。広島市と呉市を結ぶ道路と鉄道が断絶し、呉市が「陸の孤島」と化していると明らかになった。直轄路線である国道31号や185号、東広島呉自動車道の他、県道や西日本高速道路会社が管理する広島呉道路も軒並み通行止めになっていた(図1)。

図1 ■ 7月7日午前の広島県内の道路状況
広島市と呉市を結ぶ主要路線は一時、全て通行止めとなった(資料:国土交通省)
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 「呉市まで緊急車両を通すルートを一刻も早く確保する」。これを最優先の課題に据え、直轄路線を順次開通させる計画が慌ただしく動き出した。「最大の想定外は、土砂災害がこれだけの広範囲で、同時多発的に発生したことだ。そもそもこうした事態が生じ得るという認識が足りていなかった」。広島国道事務所の荒木勲副所長はこう振り返る。

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