総合技術監理部門の口頭試験対策(建設部門)は筆記試験と同様に、相反関係(トレードオフ)の問題に対して、5つの管理技術を用いてどう解決したかが重要だ。返答の態度なども判断基準になるので、リラックスして本番に臨もう。(日経コンストラクション)

 2019年度の総合技術監理(総監)部門の口頭試験では例年と同じく、必須科目と選択科目とで求められる知識・能力が異なる(図1)。

図1■ 総合技術監理部門の口頭試験の概要
試問事項 試問時間

必須科目に対応
1 総合技術監理部門の必須科目に関する技術士として必要な専門知識および応用能力 20分
(10分程度延長の場合もあり)
①体系的専門知識(40点)、②経歴および応用能力(60点)

選択科目に対応
1 技術士としての実務能力 20分(10分程度延長の場合もあり)
①コミュニケーション、リーダーシップ(30点)、②評価、マネジメント(30点)
2 技術士としての適格性
③技術者倫理(20点)、④継続研さん(20点)
選択科目に関する口頭試験は、総合技術監理部門以外の技術部門の口頭試験にて別途行う。また、選択科目の免除者は必須科目のみの試問とする(資料:日本技術士会)

 必須科目では「体系的専門知識」と「経歴および応用能力」が問われる。前者では受験申込時に提出した業務経歴について、後者では、業務経歴に加えて720文字の「業務内容の詳述」、筆記試験での解答について試問される。

 他方、選択科目では総監部門を除く技術部門での試問事項と同じだ(第9回を参照)。19年度からは、判断基準が「コミュニケーション、リーダーシップ」「評価、マネジメント」の2グループ4項目に細分化されているので注意しよう。

 選択科目免除の受験者は、必須科目のみの試問となる。総監部門を除く技術部門とは異なり、「経済性」「人的資源」「情報」「安全」「社会環境」の5つの管理技術で業務全体を見渡し、総合的に分析、評価して、最適な対応が求められる(図2)。

図2■ 5つの管理技術とその内容
管理技術 内容
経済性
管理
「事業企画、品質管理、工程管理、現場の管理と改善、原価管理、財務会計、設備管理、計画・管理の数理的手法」。建設部門では、建設事業計画、施工計画、品質管理、工程管理、原価管理(コスト管理)が主体となる
人的資源管理 「人の行動と組織、労働関係法と労務管理、人材活用計画、人材開発」。建設部門では、下請け作業員(外注の協力会社)の作業環境管理、労働衛生管理、教育訓練などとなる
情報管理 「情報と意思決定、コミュニケーションと意思決定、知的財産権と情報の保護と活用、情報通信技術動向、情報セキュリティー」。建設部門では、民間工事の顧客情報、利害関係者(地域住民)との情報などがある。公共工事では、情報開示されるため利害関係者とのトレードオフが発生しやすく、施工会社からの情報が大きなトラブルを生むことがある
安全管理 「安全の概念、リスクマネジメント、労働安全衛生管理、事故・災害の未然防止対応活動・技術、危機管理、システム安全工学手法」。建設部門では、安全設計、安全計画、施工の労働安全衛生が主体となる
社会環境管理 「地球的規模の環境問題、地球環境問題、環境保全に向けた取り組みの基本原則と手法、CSRと組織の環境管理活動」。建設部門では、環境アセスメントや環境配慮計画・設計、環境汚染、建設廃材、地域社会環境管理などとなる

 必須科目の試問では、業務で生じた相反関係(トレードオフ)の問題や失敗事例などにどう対応したかについて聞かれることが多い。5つの管理技術を基に、トレードオフをいかに解決したかを説明する。

 技術士制度における総監部門の概念および技術体系を示す「総合技術監理キーワード集2019」(文部科学省)には、目を通しておこう。

 特に1章には、青本(技術士制度における総合技術監理部門の技術体系、04年に日本技術士会が発行)から引き継がれた総監の背景や本質、総監技術士に求められる能力、見識、資質、倫理性などを記載している。

総監の視点からの答弁が重要

 筆記試験において総監に関する能力は確認されている。そのため口頭試験では、試験官の問いに対しての表情や態度、説明能力が評価の基準になる。要は、総監を理解し実行できる能力を前提に、業務を高い水準・能力で総合的に遂行できる人物かどうかが問われる。

 試問では特定の管理技術を明確にしないケースが多い。例えば、記述した論文に基づき、「圧縮強度30.0N/mm2についてどう考えるか」という質問だ。試験官が5つの管理技術のどれを聞いているのかを瞬時に判断して、意図に沿った管理技術の視点から答えるべきだ。

 受験者は、今までの業務において数々の問題を解決してきたと思う。原因の排除によって単純に解決に結び付けばよいが、色々な要素が絡んで、トレードオフになったことも多いはずだ。体系的専門知識に関する試問には、トレードオフをキーワードにした総監の視点で解答する。

 工事を例に取れば、「安全性と経済性または工程管理と品質確保がトレードオフになるときには、どう解決するか」「トレードオフについてどのような妥協点を見つけていくことが必要か」と試問される場合がある。

 高い見識はもちろん、利害関係者との接触や調整によって問題を解決するトータルバランスが求められる。工事以外の国際情勢や経済問題などについて考えを問われることもあるので、5つの管理技術を確実に理解して、日ごろからリスクを低減できるようにしておこう。

 最近では、経済性以外でのトレードオフを試問される場合が増えている。企業または組織の一員として、「危機管理」「トレードオフ型意志決定」「内部統制」「事業継続計画(BCP)」も不可欠だ。

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