2019年度の技術士第二次試験の筆記試験が終わった。速報で、建設部門と総合技術監理部門の出題内容を解説する。問題全てが記述式となった試験改正の1年目ということで出題傾向が読めなかったが、蓋を開けてみると、ほぼ例年通りのテーマが出題されていた。難度もそれほど高くなかった。(日経コンストラクション)

 2019年7月14日に総合技術監理部門、翌15日にそれ以外の部門で、技術士第二次試験の筆記試験が行われた。今回は、その筆記試験の出題内容について解説する。

1.建設部門の必須科目の出題内容

 図1に、建設部門の必須科目で出題された問題文を紹介する。2問出題されて、答案用紙3枚以内に記述する形式だ。テーマは生産性向上(人材不足)と自然災害への対応であり、予想通りだった。2つとも建設部門にとって現在の主要な問題として認知されており、オーソドックスな出題といえる。

I-1  我が国の人口は2010年頃をピークに減少に転じており、今後もその傾向の継続により働き手の減少が続くことが予想される中で、その減少を上回る生産性の向上などにより、我が国の成長力を高めるとともに、新たな需要を掘り起こし、経済成長を続けていくことが求められている。
 こうした状況下で、社会資本整備における一連のプロセスを担う建設分野においても生産性の向上が必要不可欠となっていることを踏まえて、以下の問いに答えよ。
(1)建設分野における生産性の向上に関して、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。
(2)(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)(2)で提示した解決策に共通して、新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。
(4)(1)~(3)を業務として遂行するに当たり必要となる要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から述べよ。
I-2  我が国は、暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火、その他の異常な自然現象に起因する自然災害に繰り返しさいなまれてきた。自然災害への対策については、南海トラフ地震、首都直下地震などが遠くない将来に発生する可能性が高まっていることや、気候変動の影響などにより水災害、土砂災害が多発していることから、その重要性がますます高まっている。
 こうした状況下で、「強さ」と「しなやかさ」を持った安全・安心な国土・地域・経済社会の構築に向けた「国土強靭化」(ナショナル・レジリエンス)を推進していく必要があることを踏まえて、以下の問いに答えよ。
(1)ハード整備の想定を超える大規模な自然災害に対して安全・安心な国土・地域・経済社会を構築するために、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。
(2)(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)(2)で提示した解決策に共通して、新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。
(4)(1)~(3)を業務として遂行するに当たり必要となる要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から述べよ。
図1■ 必須科目で出題された「生産性向上」と「防災・減災」の問題
(資料:日本技術士会)

 一方、小問では、過去に例がない問いかけが見られた。「解決策に共通するリスク」や「倫理や社会の持続可能性の観点」といった一般論で解答させる問いだ。戸惑った受験者も多かったと思われる。

 最も配点の高い重要な部分は、小問(2)で問われた「複数の解決策」だ。題意を誤解しなければ、この部分は容易に解答できたと思われる。逆に必須科目だけで正解率60%の確保が合格の必要条件なので、題意を捉え損ねたら絶望的だ。

 2つの出題文とも、4つの小問はほぼ同じ内容だった。しかもこの傾向は建設部門のみならず、全部門で同様な傾向だった。来年度以降も標準になるだろう。

 小問の内容は以下の通りだ。まずは、(1)でテーマに関する課題を多面的に抽出、分析させる。次に、(2)でその中から最も重要な課題を1つ挙げさせ、その解決策を複数書かせる。そして、(3)でその解決策に共通するリスクと対策を求め、最後に(4)で倫理と社会の持続可能性の観点から要件を答えさせている。

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