約3400億円を投じた全長3.4kmの橋梁建設プロジェクト。発注者は125年の耐用年数を確保した橋を短工期で造るよう求めた。隣接する旧橋に深刻な劣化が生じ、完成から60年足らずで供用を止めざるを得なかったからだ。

旧橋の早期劣化を受けてプレキャスト化で完成急ぐ

 カナダのモントリオール市で2019年7月、全長3.4kmのサミュエル・ド・シャンプラン橋が完成した。五大湖から大西洋まで流れるセントローレンス川に架かる。右岸寄りは、高さ170mの主塔からケーブルを左右非対称に張り出した斜張橋となっているのが特徴だ(写真1~3)。

写真1■ セントローレンス川に架かる全長3.4kmのサミュエル・ド・シャンプラン橋を右岸側から見る。上り線と下り線の間には将来、次世代型路面電車(LRT)が走る計画がある。隣に架かる旧橋は今後、解体する。2019年7月撮影(写真:Signature on the Saint Lawrence)
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写真2■ 斜張橋の主塔は高さ170m。左右非対称のケーブルが張り出す。新橋はカナダの建国記念日である19年7月1日に開通した(写真:Signature on the Saint Lawrence)
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写真3■ 19年4月に撮影した施工中の様子。斜張橋の区間は約500mで、前後のアプローチ部にある橋脚の支間は約80m。床版防水や舗装などの敷設工事が始まろうとしている(写真:Signature on the Saint Lawrence)
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 総工費は42億カナダドル(約3400億円)で、近年では北米最大級のインフラプロジェクトだ。橋はカナダと米国をつなぐ幹線ルートに位置し、年間5000万台の車両と同200億カナダドル(1兆6300億円)規模の貨物が行き交うことになる。

 着工したのは15年6月(写真45)。当初は18年12月までのわずか3年半で完成を目指す計画だった。実際は、冬季の気温低下によって橋面の舗装工事などができなかったため、半年遅れの供用開始となった。

写真4■ 斜張橋の桁架設が始まった17年12月に撮影。右岸側の鋼箱桁を張り出す(写真:Signature on the Saint Lawrence)
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写真5■ 斜張橋ケーブルの被覆材。30cm間隔で環状の突起を設け、ケーブルに付着した氷が大きくなる前に安全に落ちるようにした(写真:カナダ・インフラ省)
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写真5■風洞実験の様子。斜張橋は1万年に1回の暴風にも耐える(写真:カナダ・インフラ省)
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