大阪市中心部で幹線道路のアーチ橋を丸2年通行止めにして、床組みや床版を全面的に取り換える珍しい工事が最盛期を迎えている。両岸の橋台が不等沈下して低くなった桁下空間の高さを回復するとともに、アーチリブに生じた過大な応力を解消する。

小判形断面の支承ピンでアーチ形状を矯正

 かつて全国諸藩の蔵屋敷が集まり、「天下の台所」の中枢を担った大阪・中之島。その北岸に架かる堂島大橋のたもとには現在、車両通行止めの看板が掛かる(写真1~3)。

写真1■ 左右のアーチリブと橋台を残しつつ、床組みや床版、吊り材などの取り換え工事が進む堂島大橋。1日2万台以上が走っていたが、2020年1月までの2年間は車両通行止めに。歩行者と自転車が通れる仮歩道を切り回しながら施工する(写真:日経コンストラクション)
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写真2■ 堂島川の上流から堂島大橋を望む。高度経済成長期までの地下水のくみ上げによって、両岸のラーメン橋台が2m近く不等沈下。周遊ルートになっている観光クルーズ船では「桁下空間が最も狭く、通り抜けに注意を要する橋」として紹介されている(写真:日経コンストラクション)
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左岸側のビルから見下ろしたところ(写真:日経コンストラクション)
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写真3■ 19年7月から既設アーチリブなどの塗り替えが本格化。旧塗装は鉛を含むため、パネルで囲って作業する。一般部は電磁誘導加熱(IH)、リベット部は塗装剥離剤で除去する。写真手前に取り換えた鋼床版の端部が見える(写真:日経コンストラクション)
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 同橋は1927年に竣工した支間約55mの下路式2ヒンジソリッドリブアーチ橋だ。戦前、戦後の地下水のくみ上げで、両岸の鉄筋コンクリート(RC)ラーメン橋台が2m近く不等沈下。計画高水位から支間中央の桁までの高さが10cm余りしかなく、船の航行に支障を来していた。

■ 堂島大橋の側面図
施工前の状況を示す。橋台の基礎は長さ21~24mの木杭となっている
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 床組みや床版を全面的に取り換え、計画高水位から80cm以上の桁下空間を最大限確保せよ─。橋を管理する大阪市は2016年6月、同市初となる設計・施工一括の工事を高度技術提案型の総合評価落札方式で公告した。「健全なアーチリブを残しつつ、架け替え相当の機能改善を図る。費用は架け替えの半分程度に抑えられる」と大阪市建設局道路部橋梁課の寺田昌広担当係長は話す。

 同時に市は、アーチリブの応力を低減する提案も求めた。橋台の不等沈下に伴って、アーチ支間が竣工時よりも約15cm広がるとともに、アーチ頂部の位置が20cm近く低下。アーチが平たく変形した結果、SS400材に相当するアーチリブの許容応力度140N/mm2を20~30%上回る力が作用していた。

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