中小規模の重力式コンクリートダムの施工に使うことが多い軌索式ケーブルクレーンの自動運転を実現した。堤体上の打設位置までコンクリートを±1mほどの精度で運ぶ。作業開始を指示するだけで、コンクリートの製造・運搬の繰り返し作業が進んでいく。

ケーブル張力を一定に保ち操作量を数値化

岩手県の発注によって盛岡市内で建設中の簗川(やながわ)ダムは、2019年7月の堤体本体の打設完了に向け、工事が大詰めを迎えている。堤高77.2m、堤体積約23万m3、堤頂長249mの重力式コンクリートダムだ。

ダムの完成イメージ。総貯水量は1910万m3。治水対策と発電、水源確保を目的とする(写真:清水建設JV)
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 堤体に打設するコンクリートや資材などを運搬するのは、上空にケーブルを張った軌索式ケーブルクレーンだ。吊り下げたバケットにコンクリートを入れ、打設位置まで直接運ぶ。堤体積20万~30万m3程度の中小規模のダム工事に使われることが多い(写真12)。

写真1■ 軌索式ケーブルクレーンのバケットで、コンクリートを堤体上の打設場所まで自動運搬する。谷と並行に張った対岸のケーブル上を黄色の走行トロリーが左右に動き、バケットの上下流方向の位置が決まる。手前にある朝顔の形をした装置は、バケットを置いて製造したコンクリートを自動で積み込む受け架台(写真:大村 拓也)
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写真2■ 右岸から見た堤体全景。撮影した2019年4月末時点で、堤高77.2mのうち61.45mまで打設が完了した。堤体の下流面に階段状に見えるのは、天端から越流した水を下流の水路に導くための堤趾(ていし)導流壁(写真:大村 拓也)
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ケーブルクレーンの機械室。計4台のモーターで動かす(写真:清水建設JV)
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 簗川ダムを施工する清水建設・鴻池組・平野組JVは19年3月、コンクリートの製造から打設位置への運搬まで、全て自動でこなす「ダムコンクリート自動打設システム」を実用化した。2地点を結ぶ直線上だけを動く固定式ケーブルクレーンの自動運転は既に実用化されているものの、軌索式ケーブルクレーンでの採用は初めて。打設サイクルを10%ほど短縮できる。

 堤体工事のうち、コンクリートの製造・運搬・打設は同じ作業が5万回程度繰り返され、総工費の約6割を占める。清水建設は作業の自動化が生産性向上につながるとみた。

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