連日のように35℃を超え、各地で過去最高気温を記録した今夏。現場では熱中症が猛威を振るい、コンクリートが打設不能に追い込まれるなど、建設業界は対応に追われた。供用中のインフラでも、鉄道のレールのゆがみや舗装の剥離といった損傷が発生した。今後も地球温暖化で気温は上がり続ける。新たな「災害」として認知された暑さへの対処策を探る。
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連日のように35℃を超え、各地で過去最高気温を記録した今夏。現場では熱中症が猛威を振るい、コンクリートが打設不能に追い込まれるなど、建設業界は対応に追われた。供用中のインフラでも、鉄道のレールのゆがみや舗装の剥離といった損傷が発生した。今後も地球温暖化で気温は上がり続ける。新たな「災害」として認知された暑さへの対処策を探る。
猛暑に負けない現場
熱中症対策に近道は無い。発症のメカニズムを正しく理解して、様々な対策を組み合わせることが重要だ。2つの大きな現場で建設会社が実践している対策を例に挙げ、熱中症を防ぐ8つの守るべき原則を見ていこう。
最新センサーまる分かり
自分では気付きにくい体調の変化や疲労の蓄積を、腕やシャツに装着したセンサーで読み取って、現場での体調管理に活用する動きが広がり始めている。熱中症リスクを検知するだけにとどまらず、現場の安全性向上にも期待できる。
どうする? 暑中コンクリート
現場で暑さ対策が欠かせないのは人だけでない。コンクリートにも必要だ。示方書で認めているにもかかわらず、打ち込み温度が35℃を超えると、前例がないのを理由に打設を禁止する発注者が多い。関西から、そんな状況に「待った」をかける動きが出てきた。
供用中の構造物に悪影響
今年の記録的猛暑は、供用中の構造物にも悪影響を及ぼした。富山県では鉄道のレールがゆがみ、路面電車が脱線。羽田空港では滑走路の舗装が剥離した。今後も気温上昇は避けられないなか、インフラの管理者にとって夏は鬼門となるか。
道路空間が凶器に
熱中症で怖いのは直射日光だけでない。光を吸収したインフラからの熱放射も無視できない問題だ。2020年の夏季に開催する東京オリンピック・パラリンピックで、体調の異常を訴える競技者や観客を続出させないよう、遮熱性舗装や日よけの事業が本格化している。