5月26日午前2時20分ごろ、東京都渋谷区にある工事用ヤードから隣接するJR山手線の線路に向かって、長さ約30m、幅約4.8m、重さ約100tの鋼桁が静かに動き出した。目指す先は、南に230mほど離れた宮益架道橋だ(写真1)。

写真1■ 山手線と埼京線の線路を横断し、1回目の横取りを完了した桁。5月26日午前2時半ごろ撮影(写真:鹿島、撮影:大村 拓也)
[画像のクリックで拡大表示]

 JR東日本は26日未明から翌27日午後10時にかけての45時間、JR埼京線を運休して、渋谷駅構内の線路切り替え工事を実施。埼京線の上り線を新たな線路に付け替え、上下線の線路の間隔を広げることで、2020年に移設予定のプラットホームを設けるスペースを確保した。この際、渋谷駅のすぐ北側にあり、有名なスクランブル交差点そばの道路に架かる宮益架道橋も架け替えた(図1)。

図1 ■ 宮益架道橋断面図(渋谷側橋台)
[着手前]
(資料:JR東日本)
[画像のクリックで拡大表示]
[完成(2027年ごろ)]
2020年に埼京線のホームを移設する際、下り線の桁も上り線と同様、回転し持ち上げる(資料:JR東日本)
[画像のクリックで拡大表示]

 埼京線が走る既設の架道橋は、3主桁の複線用下路式プレートガーターだった。上下線の間隔を広げるため、これを2本の橋に分割。既設の架道橋の中主桁から下り側を単線用として残す一方、上り側にあった部材を撤去し、新たな桁を架設する。

 インフラが複雑に入り組む都市部の工事とあって、架け替え方法には制約があった。

 「架道橋が架かる道路の直下には、地下駅の躯体がある。重量のある大型クレーンを使った一括架設はできない」と、工事を発注したJR東日本渋谷プロジェクトセンターの大川敦課長は説明する。そもそも現場周辺はビルが林立し、桁を地組みできるスペースがない。

この先は有料会員の登録が必要です。「日経コンストラクション」定期購読者もログインしてお読みいただけます。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら