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跡津川上流砂防堰堤その2工事(岐阜県)
発注者:国土交通省北陸地方整備局神通川水系砂防事務所
受注者:坂本土木

 岐阜県と富山県の県境付近。奥飛騨を流れる跡津川の上流に整備する全幅135mの砂防堰堤のうち、右岸側の幅28m分を建設する工事だ(写真1、2、図1)。

写真1■ 完成した跡津川上流砂防堰堤の右岸部分。跡津川には深層崩壊の危険度が高い渓流が点在し、河床には大量の土砂が堆積している (写真:坂本土木)
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写真2■ 施工途中の堰堤。脱型が不要な残存型枠を使用してコンクリートを打設した(写真:坂本土木)
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図1 ■ 工事の概要
[正面図]
跡津川上流砂防堰堤のうち、右岸側の赤色で示した部分を建設した。コンクリート体積は1200m3(資料:坂本土木)
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 現場周辺は、素粒子ニュートリノの研究施設「スーパーカミオカンデ」や大手金属会社の鉱山があり、渓流釣りや山菜採りの好スポットとしても知られる。施工に当たっては、工事車両と一般車両との事故防止や、第三者への注意喚起を徹底する必要があった。また、希少猛きん類の営巣や冬期の降雪など工程に影響する環境条件もあり、施工効率を高める努力と工夫が不可欠だった。

 施工を担当したのは、坂本土木(岐阜県飛騨市)の技術者・技能者計7人から成る直営の施工チーム。下請けを使わない少人数体制の強力なチームワークで工事を完遂した。

 同社の実直な作業や厳しい社内規格値を設けた品質管理は、発注者の国土交通省北陸地方整備局から高い評価を受け、評定点で82点を獲得。さらに、2017年度の優良工事として局長表彰も受賞した。

 大きな課題となった安全管理は、交通対策、第三者対策、現場内対策の3つを柱に、様々な施策を展開。工事終了まで無事故を貫いた。

 例えば交通対策としては、狭くて路面の状態が悪い山道を走行する工事車両や一般車両のトラブル防止に努めた。対向車同士が安全にすれ違えるように退避所を設けたほか、道路の状態を改善するために草刈りや清掃を実施した。さらに、徐行を求める看板も要所に設置。研究施設に勤める外国人にも分かるように、英語表記の看板も併せて掲示して注意を呼びかけた(写真3)。

(写真:坂本土木)
(写真:坂本土木)
写真3■ 1番目の写真は、外国人運転者への注意喚起。2番目は、第三者が侵入すると人感センサーで察知し、音声で危険を知らせる安全設備。3番目は「顔色・服装チェック」の様子。朝礼時に体調不良などの兆しがないかお互いに確認する(写真:坂本土木)

 現場代理人を務めた坂本土木土木部の葛谷弘樹氏が対応に苦慮したのが、レジャー目的でやってくる第三者への注意喚起だ。釣りや山菜採りに夢中になっている人は、地面にラインを引いて工事エリアを色分けしたり、進入禁止の柵を設けたりしても、無意識に入り込んで来るという。そこで同社は、人感センサーで人の動きを捉え、音声ガイダンスで危険を知らせる機器を設置した。

 現場内対策は、自然災害や建設事故から自社のスタッフを守るための取り組みだ。現地は、土砂災害のリスクがあるだけでなく、突然の落雷や突風なども発生しやすい環境だ。緊急事態に備えて各施工箇所に無線機を配備したほか、現場が孤立した事態も想定して非常用持ち出し袋などの備えを充実させた。スタッフには落雷探知機や風速計も携帯させるようにした。

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