山中で水車の曲率に合うスギ材探す
遠心力で伸びた既存部材を調整して接合

 台風被害で稼働を停止していた木造の大水車が、大規模改修を経て2018年10月に復活した(写真1)。大きく損傷した車輪外周の水受け部を一新し、内側の既存部材とつなげている。

写真1■ 2018年10月に改修工事が完了した大分県佐伯市の木造「大水車」。直径約18m。台風被害で損傷した車輪外周部の部材を全て交換し、放射状に伸びる既存のスポーク部分と接合した(写真:イクマ サトシ)
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上空から見下ろす。大水車は番匠川よりも4.5mほど高い地盤に立つ。水害対策として上流側(写真右側)の護岸の上に、高さ約2mの擁壁を設けた。小半(おながら)森林公園内にある。左上はキャンプ場
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写真右の導水鉄塔は高さ17.8m。上から落とす水の重さと勢いで水車を回す、逆落とし形式の動力水車(写真:イクマ サトシ)
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 場所は大分県佐伯市。九州屈指の清流として知られる番匠(ばんじょう)川のほとりに立つ。牧歌的な風景には少しそぐわない大きさと、ダイナミックな回転に圧倒される(写真2)。直径は約18m。隣接する導水鉄塔から水が供給され、その重さと勢いで1分間に2.5回転する。

写真2■ 水車の部材は全てスギ材。水車から落ちる水滴が見える(写真:イクマ サトシ)
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 1993年の建設当初は、回転動力を製粉などに活用していた(写真3)。近年は作業機を停止し、地域のモニュメントとして親しまれてきた。そんな状況が一変したのが2017年9月のことだ。台風襲来で番匠川が増水し、流木などで水受け部が大幅に破損した(写真4)。

写真3■ 1993年の建設時。スポーク部分の「日の足」を鉄の中心部に打ち込む(写真:野瀬建設)
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写真4■ 2017年9月の台風被害で水受け部分が損傷した(写真:野瀬建設)
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 水車を管理する市本匠振興局地域振興課の野村勝彦副主幹は、こう振り返る。「早期の再稼働を望む地域の声は多かった。一方で、完成から四半世紀が経過して、被災前から老朽化が目立っていた」。市は改修による再稼働の可能性や概算の工事費を検討するため、野瀬建設(福岡県久留米市)の野瀬秀拓代表に被災調査を依頼した。建設当時の水車大工だ。

 「水車は一般的に、20年余りで造り換える。ただ、佐伯市の大水車は被害の少なかったスポーク部分のスギ材が硬く、くぎもしっかり利いていた」(野瀬代表)。そこで既存の部材を再利用し、破損した水受け部などを取り換えれば、1200万円程度で改修できると野瀬代表は提案。これを受け、市は改修工事に踏み切った。

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