土木のチカラ
目次
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昭和モダン橋が送る“第2の人生”
やまだばし思い出テラス(鹿児島県姶良市)
昭和初期のコンクリート橋が姿を変え、かつての橋詰め付近で広場の一部として“第2の人生”を歩み始めた。2019年3月に完成した「やまだばし思い出テラス」だ。
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分断された街をつなぐ「橋脚の道」
ザ・ベントウエイ(カナダ・トロント市)
1958年に建設されたガーディナー高速道路の高架下で、全長1.75kmの空き地を多目的な公園として再生する画期的なプロジェクトに注目が集まっている。2018年8月にカナダのトロントで完成したザ・ベントウエイだ。
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民間力が生んだ「水辺のにぎわい」
勝山公園の鷗外橋西側橋詰め広場と水辺の遊歩道(北九州市)
西の空に日が沈む頃、北九州市の小倉都心部を流れる紫川周辺に、夕涼みを楽しむ人たちが集まり始めた。水辺でひときわ明るい光を放つのは、市の勝山公園に設置された飲食施設だ。店舗前の階段やスロープで水際に下りることができる。
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スギ材の新旧共演で大水車復活
台風被害で稼働を停止していた木造の大水車が、大規模改修を経て2018年10月に復活した。大きく損傷した車輪外周の水受け部を一新し、内側の既存部材とつなげている。
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姫路城に続く「400m」に込められたデザインの意図
大手前通り・南工区(兵庫県姫路市)
姫路市はJR姫路駅北側の広場や通りで、車中心から人中心の空間へと再生する改修事業を2011年から段階的に進めている。18年9月には、駅から世界遺産の姫路城へと続く「大手前通り」の南工区(延長約400m)の整備が完了。幅員約15~16mの歩道に、自由に休める空間の他、歩行者や自転車の通行帯を設け、エ…
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世界遺産まで飽きずに歩ける道
大手前通り・南工区(兵庫県姫路市)
兵庫県のJR姫路駅から世界遺産の姫路城へと続く「大手前通り」の南工区約400mに、歩いていて飽きのこない歩道が完成した。イチョウ並木の両側に歩行者と自転車の動線を分散配置して、舗装の仕上げを変えている。レンガや木、歩道ブロックが混在しながら、雑多さを感じない洗練されたデザインが印象的だ。自転車と歩…
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“水中の最新技術”が支える木製復元橋
擬宝珠橋(ぎぼしばし)(鳥取市)
JR鳥取駅から北東に約2km。堂々たる石垣が続く山城、鳥取城跡の玄関口に、「擬宝珠橋(ぎぼしばし)」が復元整備された。明治元年に架け替えた橋を正確に復元。橋脚の位置は旧橋を踏襲しており、側面から橋を見ると、8つの支間の長さは全て異なる。
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生まれ変わる渋谷川に新たな動線
渋谷リバーストリート(東京都渋谷区)
都市の発展とともに河川に蓋がされ、街から多くの「自然河川」が失われてきた東京都渋谷区。そんな区内で唯一の開きょである渋谷川が、にぎわいを創出する“生きている河川”へと生まれ変わった。
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川に“浮かぶ”天満宮
梯川分水路(石川県小松市)
国の重要文化財の保存か、堤防の引き堤か。そんな二者択一で膠着状態にあった計画を脱却し、保全と治水を両立させた河川改修が、石川県小松市を流れる梯川で実現した。陸続きだった小松天満宮が、“浮き島”になるように設けた「梯川分水路」だ。河川拡幅の一環で、国土交通省北陸地方整備局金沢…
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復活した「疏水船」が伝える明治期の偉業
びわ湖疏水船(大津市~京都市)
明治期に若き土木技術者が成し遂げた土木プロジェクトを、いかに今に伝えるのか──。琵琶湖疏水の往時の物語を紡ぐ観光船が、今年の春に復活した。
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繊細なトラスに合うシンプルなアーチ
天城橋(熊本県上天草市~宇城市)
2つの橋の共演──。九州本土から天草諸島へ向かう際、初めにまたぐ海峡にこの5月、アーチ形式の「天城橋」が新たに開通した。熊本天草幹線道路整備の一環で県が建設した「鋼PC(プレストレスト・コンクリート)複合中路式アーチ橋」だ。箱状の鋼部材をつなげたソリッドリブ形式のアーチ橋としては、国内最大の支間長…
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圧巻の渓谷美がもてなす「トンネルの旅」
清津峡渓谷トンネル(新潟県十日町市)
ひんやりとしたトンネルを750mほど進み、終点にたどり着くと、眼前に幻想的な空間が広がった。半円状の開口部とそこから見える渓谷美が水盤に映って、大きな円に納まった風景をつくり出す。トンネル内壁のステンレスに反射する景色も相まって、しばし時を忘れるほど見入った──。新潟県十日町市を流れる清津川沿いに…
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世界初の構造が生むしなやかな橋
新名神高速・武庫川橋(神戸市)
兵庫県南東部を流れる武庫川の上流部を車で走っていると、山あいに突如、コンクリート製の巨大な円形橋脚が現れる。見上げると、高さ80m超で、直径わずか5mのスレンダーな橋脚からは想像できないほど幅広のコンクリート桁が、川をまたいでいた。