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誰が社員の安全を守るのか
萱野 静雄(74、労働安全コンサルタント)

 労働安全コンサルタントとして多くの建設会社で顧問を務めるなか、建設業界で労働災害が一向に減らないことを憂いている。

 労働安全を担当する部署が社内になく、経営者も含めて労働安全衛生法の内容を知っている人がいないような会社は珍しくない。こうした会社では社員に対する安全教育が行き届かず、墜落制止用器具を装着しないまま平気で高所作業する人がいる光景に驚かされることが少なからずあった。他の多くの会社でも同様の事態が起こっているのではないだろうか。

 大きな事故が発生する前に、このような安全軽視の状態に気づいてもらえればいいのだが、多くの場合は重篤な労働災害が起こって初めて、私たち労働安全コンサルタントに話がやってくる。大きな事故が起こらないと、安全について真剣に考えてもらえないのかと思うと、残念で仕方がない。

 安衛法は自分の、そして他人の生命と身体を守るために「しなければならないこと」や「すべきこと」を定めている。構造物の質や仕上がりに関係がないからといって、決しておろそかにしていいものではない。安全を徹底するためにも、全ての会社で安全部などを設けて、社内の安全担当者を決めてほしい。

 厚生労働省は対策の一環として、高所作業時にフルハーネス型の墜落制止用器具の装着を義務化した。しかし、法律などを改正しても内容を理解し、守らせる人が社内にいなければ事故は減らせない。

 人手不足やベテラン作業員の退職が進む状況にあって、安全教育がきちんと継承されていくのかという懸念もある。生産性第一ではなく、安全第一に改めない限り、労働災害はいつまでたっても減らないと肝に銘じてほしい。

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