東京大学発ベンチャーのソナス(東京都文京区)は、省電力マルチホップ無線「ユニゾネット」を開発した。トレードオフになりがちな通信の距離と速度を両立できる。橋梁や建物のモニタリングで、既に試験的に使用されている(写真12)。

写真1■ 長崎県の軍艦島にある日本最古の鉄筋コンクリート造の30号棟(写真:ソナス)
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写真2■ 茨城県の新那珂川大橋。「sonas x01」という省電力マルチホップ無線を搭載したセンサーユニットを取り付けている(写真:ソナス)
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 子機が親機としか接続しないシングルホップ無線に対して、子機同士も接続し、バケツリレーでデータを伝送する方式がマルチホップ無線だ(図1)。LPWA(省電力広域無線通信)では、前者のタイプが多い。

図1■ 通信の範囲と速度のトレードオフを解消
シングルホップ型(左)とマルチホップ型(右)の違い(資料:ソナス)
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 マルチホップ無線の主流は、ルーティング型だ。事前に経路を決めてデータを転送する。どこか1つでも子機が機能しない場合、データが到達しない恐れがあった。

 「ルートを決めるだけでなく、タイミングや周波数なども規定する。がちがちにスケジューリングして送るのがルーティング型。どうしても効率が悪くなる」。ソナスの大原壮太郎代表取締役はこう説明する。

 一方、ソナスのマルチホップ無線では「同時送信フラッディング」の転送方式を使う。ルートを決めずに同一のデータを同一のタイミングで複数の子機に飛ばし、さらに受信した子機が同様に他の複数の子機に転送を繰り返して、目的地へ伝送する。

 一般にトランシーバーが2人同時に話せないのと同じく、無線では電波が干渉しないように、周波数を変えたり電波を送るタイミングをずらしたりするのが常識だ。同時送信フラッディングでは、同一のタイミングで電波がぶつかる。

 「実は全く同時刻で複数のデータを受信すると、干渉はするものの致命的な干渉ではないことが発見された。一部の情報は壊れるが、復元できるレベルだということも分かった。無線では非常識なので、誰も試してみようと思わなかったのではないか」(大原代表取締役)

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