山口県下関市で瀬戸内海に面した競艇場の護岸が突然崩れた事故は、海面と護岸内の水面との間の水位差で起こった浸透破壊の可能性が高いことが分かった(写真12)。国土交通省九州地方整備局が設けた専門家による原因究明委員会(委員長:善功企・九州大学名誉教授)が2019年9月13日に明らかにした。

写真1■ 競艇場の崩れた護岸。ボートレース下関は1954年に開業した。建設当時の記録は残っていないが、60年代には現在の形になっていたようだ(写真・資料:国土交通省下関港湾事務所)
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写真2■ 護岸と競艇場の位置関係。護岸の破損で、干潮時などに競艇場内の水位を維持できなくなり、ボートレースを中止した。応急復旧を終えて、現在はレースを再開している(写真・資料:国土交通省下関港湾事務所)
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 崩壊箇所の海側では九州地整が水門設置に向けて捨て石の掘削を進めており、その工事が影響した可能性もある。

 事故が起こったのは19年8月29日午後1時ごろ。下関市が管理・運営する「ボートレース下関」の競技水面と海面を隔てる延長100mの護岸のうち、30m程度の区間が崩れた。九州地整が9月13日までに大型土のうを積んで応急復旧を終えている。

 護岸は石積みの表面をコンクリートで被覆した構造で、約60年前に造られた。定期的な点検はしていないが、これまでに補修工事を複数回実施している。天端は平均海面よりも86cm高く、海面水位が高くなると水没する。

 事故後の調査によると当時は引き潮で、海面は競技水面よりも2.6mほど低かった。前日の夜に1時間当たり最大36mmの雨が降ったことなどから、午前8時の満潮時の海面は護岸の天端よりも30cm程度高い水位を記録。その後、事故があった午後1時までに海面が約3m低下し、護岸を挟んで水位差が生じた。

 原因究明委員会は、水位差によって護岸内部に海水が浸透し、コンクリートの経年劣化などと相まって損壊したとみている。ただし、干満や降雨の影響で同程度の水位差が生じることは珍しくない。競艇場近くの長府検潮所の記録では、事故の前日も2m以上の水位差があった。

 ボートレース下関を含む市の瀬戸内海側は、高潮による浸水被害にたびたび見舞われている。九州地整は08年度から水門設置や護岸のかさ上げといった対策工事を進めてきた。

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