兵庫県宝塚市内の宅地開発で擁壁などに崩壊の恐れがあるとして住民が提起した訴訟で、神戸地裁は2019年4月16日、違法な宅地開発を許可した市に対策を命じる判決を言い渡した。一方で、許可基準への不適合は形式的な問題だとして崩壊の危険性は認めず、開発した民間事業者の法的な責任は否定。矛盾をはらむともいえる判決に、住民と市の双方とも納得せず、同年5月7日までにそれぞれ控訴した。

 現場は宝塚市南部の住宅街の一角にある。不動産会社のワールドターン(宝塚市)が市の許可を受けて14年に造成し、宅地は住宅会社の東栄住宅(東京都西東京市)に、宅地西側の法面部分は不動産会社のビッグウィン(兵庫県三田市)に売却した。

 東栄住宅が建設して販売した戸建て住宅を、住民のB氏とC氏がそれぞれ購入して入居した。法面の下は1970年に施工された石積み擁壁で、付近にA氏が保有し別の住民に貸している戸建て住宅が立っている(写真1、図1)。

写真1■訴訟の対象となった兵庫県宝塚市内の斜面状の宅地(写真:あすなろ法律事務所)
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図1■「2段積み」と見なされた擁壁
傾斜地の断面図。住民側の資料を基に日経コンストラクションが作成
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 住民側によると、ワールドターンの宅地造成工事が進行していた13年7月、A氏が保有する住宅の住民が、石積み擁壁にずれが生じていることに気付いた。後にB氏とC氏も自宅の敷地に接する斜面地の安定性に不安を抱くようになった。

 宅地西側の斜面地は、上から高さ3.9mのL形のコンクリート擁壁、高さ5.8mで勾配が57~60度の法面、高さ5.35mで勾配が72.5~75度の石積み擁壁という3層構造だ。法面の勾配が急で、L形擁壁と石積み擁壁の水平方向の距離がわずかであるため、2段積み擁壁と見なされる。

 擁壁の安全性や開発許可の妥当性などについて、住民と市やワールドターンなどが対立。A氏、B氏、C氏の住民3人は16年3月、宝塚市とワールドターンなど3社を相手取り、崩壊防止工事や損害賠償などを求めて神戸地裁に提訴した。

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