富士山噴火という不確定要素の多い現象に対して、堰堤の整備といったハード対策だけでは対応しきれない。ソフト対策も不可欠だ。

 富士山火山噴火緊急減災対策砂防計画では、ソフト対策もハード対策と同様に、基本対策と緊急対策を組み合わせる内容になっている。まずは基本対策として、土石流検知センサーや監視カメラなどを平常時から備える。国はこれまで静岡県だけで監視していたが、2018年度に山梨県でも監視体制を整え始めた。

 次に、火山性地震が増えたり、火口位置が予測できたりした時点で緊急対策に取り掛かる。ソフト対策で特に期待がかかるのは、「融雪型火山泥流」と「溶岩流」への対応だ。

 前者は噴火とほぼ同時に発生するため、緊急ハード対策を施す時間の余裕がない。また後者は、噴出量が多い場合に、現時点の技術水準ではハード対策が難しい。

 そこでソフト対策として、できる限りの減災や避難を考える。鍵となるのは、国土交通省が18年度から運用を始めた「リアルタイムハザードマップ」だ。想定していなかった火口から噴火したり、溶岩ドームの形成などで地形が大きく変形したりした場合に、避難計画の作成などを助ける。

 このハザードマップにはあらかじめ地形情報などを登録しておく。もし実際の火口位置などが事前の想定と異なれば、条件を改めてシミュレーション。ハザードマップを更新する(図1)。1回の計算時間は数十分から2時間程度だ。富士山に加え、浅間山、御嶽山、霧島山、桜島の5火山で既に運用が始まっており、他の火山にも順次拡大していく。

図1■ 噴火状況に合わせてハザードマップを作成する
リアルタイムハザードマップのイメージ。火口位置が想定と違っていても、新しいハザードマップを作成できる。画像は降灰後の土石流に対してシミュレーションしたもの。国土交通省の資料を基に日経コンストラクションが作成
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 噴火活動が長期化する場合は、噴出物を分析して噴火の収束時期などを見極める必要がある。東京大学と防災科学技術研究所は、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の一環で、火山灰や火山ガスを無人かつリアルタイムで観測・分析できる技術を開発。霧島山で18年度に導入した。今後はコストを抑えるとともに、他の火山でも運用できるように展開していく。

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