江戸中期の「宝永の大噴火」から約300年。富士山の噴火対策が本格的に始動した。火口の位置や降灰量など、いざ噴火してみなければ分からないことは多い。ブロックを備蓄しておき、噴火状況に応じて必要な場所に堰堤を築く計画だ。

 富士山頂から南西に13km。静岡県富士宮市を流れる潤井(うるい)川の左岸に設けたヤードで、人の背丈ほどの大きさのコンクリートブロックが次々と出来上がっていく(写真1)。ブロックはダンベルのような形をしており、1個当たり約3tの重さがある。

写真1■ 富士山南麓砂防設備工事の現場。ブロックは鋼製型枠から脱型後、シートで包んで養生する。奥には富士山がそびえる(写真:国土交通省富士砂防事務所)
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 工事が始まったのは2018年12月。19年7月までに750個のブロックを造る。井出徳建設(静岡県富士宮市)が6372万円で受注した。国土交通省中部地方整備局富士砂防事務所は今後、このヤードで計5000個のブロックの製作工事を順次、発注していく計画だ。

 ただし、製作したブロックをいつどこで使うのか、現時点で明確に決まっていない点が一般的な工事と大きく異なる。ブロックは当面、ヤード内に積み上げて備蓄しておく。

堰堤は「7日ほどで完成」

 ブロックが“出番”を迎えるのは、富士山が噴火したその時だ。噴火に伴う土石流などから人家や公共施設、重要な道路・鉄道などを守るため、仮設の堰堤(えんてい)や導流堤の構築、既設堰堤のかさ上げなどに使う。

 富士山は山頂だけでなく、山腹など広い範囲に火口が現れる。しかも谷地形が十分に発達していないので、土石流などの集まる場所を予測しづらい。火口や噴火の規模が分かってからの動きが重要となる。

 仮設堰堤の構築など具体的な対策方法と地点が決まれば、先のヤードに備蓄しておいたブロックを現場まで運び出す。堰堤を建設する地形によるものの、ブロックが750個あれば幅50m、高さ10mで、土砂捕捉量約1万4000m3の堰堤を築ける。

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