サイクルシェアリングが市民の足として急速に定着しつつある。だが、特定の拠点に偏る自転車を再配置するコストがかさみ、黒字化にはこぎ着いていない。AI(人工知能)で最適な再配置手順を割り出すなど、コスト削減への工夫に取り組む。

図 ドコモ・バイクシェアの貸し出し拠点における再配置作業
配置の偏りをなくすトラックを24時間運行
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 「2011年4月のサービス開始から、毎年2倍強のペースで利用回数が伸びている」。NTTドコモの子会社でサイクルシェア事業を手掛けるドコモ・バイクシェアの堀清敬社長は、サイクルシェアが都市部の交通手段として定着しつつあると手ごたえを感じている。

図 国内の主なサイクルシェアリングサービス
NTTドコモ系とソフトバンク系が競う
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 2017年度の利用回数は470万回。2018年9月末時点の配備台数は全国26エリア合計で約8100台に上る。東京都心部で同社の赤い電動アシスト自転車を目にする機会も増えてきた。

 ソフトバンクとヤフーが出資するOpenStreetも業容を拡大中だ。同社は事業者向けのサービス基盤「HELLO CYCLING」を開発し、2016年11月に提供を始めた。セブン-イレブン・ジャパンや自転車販売のシナネンサイクルなどと組み、各地でサービスを展開している。

 メルカリの子会社で新規事業創出を担うソウゾウは、福岡市でサイクルシェアリング事業「メルチャリ」を2018年6月に開始。同年8月には東京都国立市での実証実験も始めた。「メルカリはモノをシェアするサービス。活動をシェアするサービスの可能性を検証する場としてメルチャリを位置付けている」とメルカリの横田結プロダクトマネージャーは話す。

 国土交通省によると、2017年10月時点でサイクルシェアリングを本格導入済みの市区町村は全国で110に達した。前年から26%増えた。国交省は2018年6月に閣議決定した「自転車活用推進計画」において、良好な都市環境の形成のためにサイクルシェアリングの普及を促す方針を示した。自転車をとめるポート数を2020年度までに2016年度比2倍の1700カ所に拡大するとの目標を定めた。

 追い風が吹くサイクルシェアリングだが、本格導入済みの110市区町村の約6割が「事業採算性の確保が課題」と認識しており、永続的なサービスとして提供することの難しさが見えてきた。大手のドコモ・バイクシェアも投資が先行する状況が続いており「現状は赤字」(堀社長)。「ofo」ブランドでサービスを展開する中国・北京拝克洛克科技が本社の経営危機の影響で2018年に日本の3都市から突然撤退したのもサービスの難しさを物語る。

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