タクシー配車アプリはDiDi、ソニー、DeNAなど新興勢が続々と参入する中、国内最大手のJapanTaxiはトヨタやドコモの出資を受け、データ収集・活用技術に磨きをかける。いずれ来る自動運転時代に備え、各社は技術開発と顧客層拡大を急ぐ。

 「日本ではライドシェアが法律で禁止されている。そんなバカな国があることが信じられない」。ライドシェアサービスを手掛ける米ウーバーテクノロジーズや中国・滴滴出行(DiDi)、シンガポール・グラブなどに出資するソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は、2018年7月に開いた法人向けイベントで強い不満を示した。日本の道路交通法は、自家用車を使った有償での運送を禁じている。

 その日本で2018年後半、タクシーの配車アプリ業界への参入が相次いだ。滴滴出行とソフトバンクの連合、ソニーなどがサービス開始を表明、ディー・エヌ・エー(DeNA)もサービス拡大を決めた。競争激化の背景には、ライドシェアが認められていない日本において、MaaSプラットフォーマーの地位を得るにはタクシー配車で覇権を握るのが近道、との共通認識がある。

表 国内の主なタクシー配車サービス
最大手のJapanTaxiを追って各社が参入
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訪日中国人をタクシーに誘導

 「大阪を訪れた中国人観光客が、中国で使っているDiDiのアプリでそのままタクシーを呼べる」。こんな利便性を訴えるのが滴滴出行とソフトバンクの共同出資会社、DiDiモビリティジャパンだ。2018年9月に大阪エリアでサービスを開始。1000台のタクシーを中国版のDiDiアプリで手配でき、決済もアプリ上で完了する。1000台の内訳は、第一交通産業の約600台と他の11社の約400台である。

DiDiはタクシー運転者向けアプリも提供
(写真提供:DiDiモビリティジャパン)
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 中国を中心に5億人超のアプリ利用者が、日本でタクシーを快適に利用できる。現に2018年10月1~7日の国慶節休暇中には、国内のDiDiアプリ利用者の半分以上を中国人ユーザーが占めたという。国内タクシー事業者にとっても、訪日中国人を送客してくれるDiDiの配車サービスは魅力的だ。

 同社は大阪のほか、東京や福岡など主要都市への展開を想定しており、「最終的には日本全域に広げたい」(DiDiモビリティジャパンの河合正憲マーケティング部長)と意気込む。外国人利用者を送客できる利点などを訴え、タクシー会社に採用を働きかける。

 他の新規参入組も、国内タクシー会社と協業して配車サービスを展開する。ディー・エヌ・エー(DeNA)は、神奈川県タクシー協会と展開してきたタクシー配車アプリ「タクベル」の名称を2018年12月5日に「MOV」に変更し、同日から東京都内でのサービスを始めた。2019年春には京阪神エリアにも進出する予定だ。ソニーとソニーペイメントサービスが都内のタクシー会社5社と共同出資で設立した「みんなのタクシー」も、2018年度中にタクシー配車サービスに乗り出す。

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