日本にとって節目の年となる2020年に流行する技術を、1年先取りして、どこよりも早く予測した。デジタルの時代は技術の重要性がこれまで以上に高まっていく。2020年に進化を遂げる20の本命技術と、今知っておきたい20の有望技術をお届けする。

VR会議が常識に、匂いの共有も夢じゃない!?

 2020年は会議室にぞろぞろと社員が入っていく風景がなくなる。代わりに社員は自席で、あるいは出先や自宅でHMD(ヘッド・マウント・ディスプレー)を装着して、仮想空間で開かれる会議に参加する。仮想の会議室で自分の代わりに身ぶり手ぶり熱弁を振るうのは自らのアバターだ。

 VR(仮想現実)は現実とは異なる環境を現実のように感じさせる技術だ。これまで重機の遠隔操作や社員の研修、住宅販売の間取り確認などに使われてきた。働き方改革でリモートワークが普及するなか、今後は日常風景の「会議」の在り方を変える存在になる。

 「VR会議」は参加者が会議室など物理的に同じ場所に集まる必要がない。しかもテレビ電話よりも会話相手の身ぶりを伝えやすい。

図 VR会議のメリット
集合会議よりリアル
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 米国の人類学者のレイ・バードウィステル氏は2者間の対話において、言葉で伝えられるメッセージは全体の35%にすぎないとする。残りの65%は話しぶりやジェスチャー、相手との間の取り方など、言語以外の手段で伝わるという主張だ。その点、VR会議なら参加者の非言語情報も伝わりやすい。テレワークが当たり前になればVR会議で得意先と商談するのも失礼に当たらなくなる。

「匂い」も共有

 既に複数のIT企業がVR会議の支援サービスを提供中だ。ベンチャー企業のSynamonは2018年春から法人向けに「NEUTRANS BIZ」を提供している。1つの仮想会議室に10人まで参加可能で、費用は1人当たり月1万円だ。

 NTTデータもサービス開発に乗り出した。会話の内容を仮想空間内にチャット形式で表示したり、本人そっくりのアバターを登場させたりする仕組みなどを実証中だ。山田達司シニアスペシャリストは「いかに臨場感を高められるかに挑戦している」と話す。

VRを使った遠隔会議の様子(画像出所:NTTデータ)
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 VR会議は「匂い」を共有できるまで技術が進んでいる。ベンチャー企業のVAQSOは2018年秋、HMDに取り付けて5種類の匂いを出せるデバイス「VAQSO VR」の開発者版を発売した。VR会議で食べ物や花、香水などの香りを共有できる時代も近い。

VR用匂いデバイス「VAQSO VR」(画像出所:VAQSO)
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 コストの安さからまず広まりそうなのが、顔認識機能を搭載するスマートフォンを使ったVR会議だ。HMDより没入感は劣るが、表情や身ぶりをアバターを通して相手に送るには十分だ。

 AR(拡張現実)やMR(複合現実)でVR会議の質はさらに高まる。「会議室が取れない」と嘆く社員はいなくなり、会議室では閑古鳥が鳴く。

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