日本にとって節目の年となる2020年に流行する技術を、1年先取りして、どこよりも早く予測した。デジタルの時代は技術の重要性がこれまで以上に高まっていく。2020年に進化を遂げる20の本命技術と、今知っておきたい20の有望技術をお届けする。

体内に入れて使える「インプランタブル機器」が普及

 眼鏡や時計からコンタクトレンズや錠剤へ――。2020年以降、「スマートグラス」や「スマートウオッチ」といったウエアラブル機器が一段と進化し、新たな機器の普及が本格化する。「インプランタブル(Implantable:埋め込み型)機器」である。

 ウエアラブル機器は顔に付ける、手首にはめるといった具合に体の外側に装着して使う。これに対し、インプランタブル機器は人間の体内に入り込んだ形で利用するコンピューターやセンサー機器を指す。「スマートコンタクトレンズ」や「デジタルメディスン」「ナノマシン(ナノボット)」が代表例だ。

図 インプランタブル機器の類型
ウエアラブルから「埋め込み型」へ(写真:Getty Images(下3点))
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 スマートコンタクトレンズはマイコンやセンサーを内蔵したコンタクトレンズだ。涙の量などを計測して人間の健康状態を調べたり、AR(拡張現実)をレンズに映したりする。

 デジタルメディスンはセンサーなどを埋め込んだ薬である。医師が処方した通りに服薬しているかなどを把握できる。ナノマシンは映画「ミクロの決死圏」さながら、人間の血管などを巡回する超小型コンピューターだ。疾患を確認し、その場で処置まで施せる。

 「利用者が自身のデータを提供する代わりに便益を得る、個人DaaS(データ・アズ・ア・サービス)の動きを加速させる」。IDC Japanの菅原啓シニアマーケットアナリストはインプランタブル機器の将来をこう見通す。

チップ入り錠剤で服薬を確認

 インプランタブル機器を開発している企業の一例が大塚製薬だ。米国のベンチャー企業のプロテウス・デジタル・ヘルスと組み、デジタルメディスンをいち早く製品化した。「自分の知る限り、世界初だ」。大塚製薬の倉橋伸幸執行役員は自信を見せる。

 倉橋執行役員は米国の医薬品開発・販売子会社である大塚ファーマシューティカルD&Cに出向し、デジタルメディスンのプロジェクトを主導している。2017年にアメリカ食品医薬品局(FDA)の承認を受け、2020年をめどに米国で本格的に販売する計画だ。

 同社のデジタルメディスンは「エビリファイマイサイト(Abilify MyCite)」と呼ぶ。大塚製薬の抗精神病薬であるエビリファイに1ミリメートル四方ほどのチップを埋め込んだ錠剤とセンサー付きパッチ、スマートフォンアプリのセットで構成する。医師はタブレットやパソコンのダッシュボードで患者ごとの状況を確認できる。

図 インプランタブル機器の製品
2020年以降の本格展開を目指す。大塚製薬のデジタルメディスン「エビリファイマイサイト」。腹部に貼ったパッチで服薬の有無を確認する(写真提供:大塚製薬)
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 患者がチップ入り錠剤を飲み、胃に達するとチップは微弱な電流(シグナル)を出す。患者の腹部に貼ったセンサー付きパッチでこのシグナルを捉え、服薬したことを患者のスマホアプリに知らせる。

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