仕事にチャットサービスを活用する「ビジネスチャット」の意義は効率化にとどまらない。その本質は、日本企業の一大テーマである働き方改革につながるところにある。活発な議論を引き出して仕事への意欲を見える化することが、創造的な働き方につながる。

 スマートフォンやパソコンを使って短文をやり取りする「チャットツール」が普及するにつれて、仕事向けのチャットツール、いわゆる「ビジネスチャット」を利用するケースが増えている。メールをはじめとする既存のコミュニケーション手段を代替したり補完したりする手段とみられがちだが、実は働き方改革にも有効だ。社内外の従業員とのコミュニケーション効率化はもちろん、創造的な働き方を実現する土台作りに役立つ。

 本連載は2018年4~6月に掲載した「ビジネスチャット活用術」の応用編と位置付け、ビジネスチャットを働き方改革に応用する意義と方策、効果を解説する。利用事例についても紹介していきたい。初回はビジネスチャットの基本をおさらいしつつ、働き方改革におけるビジネスチャットの位置付けを説明する。

メールや電話より手軽で素早い

 ビジネスチャットの特徴を理解するには、電話やメールといった既存の企業向け情報連絡・共有ツールとの違いと、消費者向けチャットツールとの違いをそれぞれ理解するとよい。

 企業向けの代表的なツールであるメールとの最大の違いは、短文で素早い返信ができること。「お世話になります」といった定型のあいさつ、返信メッセージに受信した文をコピーする「引用返信」、署名などが不要だ。電話との違いは相手を拘束しないことだ。電話をかけると相手の都合にかかわらず半ば強制的に話をすることになるが、ビジネスチャットを使えば相手は仕事の合間を使って対応できる。互いに非同期で仕事を進められるわけだ。

 LINEやFacebook Messengerといった消費者向けのチャットツールと比べた場合はどうか。テキストや写真、動画などを対話形式で送受信する基本的な機能は、ビジネスチャットも同じだ。重要な違いはセキュリティー機能にある。

 表面的には目立たないが、ビジネスチャットは人為的なミスによる情報漏洩リスクを減らすための仕組みを数多く備える。電話帳データの自動取り込み機能をなくす、利用者を自社の社員だけに制限する、端末を紛失した場合に管理者がインターネット経由でロックをかける、などだ。

 システム管理者向けの機能も充実している。組織改編や社員の異動・退職があった場合にグループのメンバーを一括して変更する機能など、会社や組織で使う際に必要な機能を備えるツールが多い。

 現場の利用者にとってはUI(ユーザーインターフェース)の違いが目に付くだろう。仕事では過去の投稿を検索・分類・整理することが多いため、すぐに検索機能を使えるよう検索窓を画面の上部など目立つ場所に配置してあるツールが多い。感情表現に使うスタンプについても、くだけたものよりも「承知しました」「電話ください」など仕事でよく使う言い回しが充実している。

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