ビジネスチャットは有用なコミュニケーションツールだが、魔法のつえではない。真価を引き出すには利用を定着させたり効果を高めたりする工夫が必要だ。デザインの観点からコミュニケーションの質と量を高める勘所を解説する。

 組織の働き方や企業のビジネスモデルを変える変革プロジェクトを成し遂げるのは容易ではない。規模や業種を問わず、変化には抵抗がついて回るからだ。

 企業変革を成功に導くためのマネジメント論をまとめた『企業変革力』(日経BP社)では、失敗を招く原因を「8つの間違い」として挙げている。読者にも心当たりがあるのではないだろうか。

8つのプロセスで変革を進める

 同書は8つの間違いに対応する形で、企業変革を成功に導く8段階のプロセスも提案している。いずれのプロセスも人の動き方や考え方を変えて遂行する。

 各プロセスを遂行するうえで、ビジネスチャットが役立つ場面は多い。例えば2段階目の「変革を推進する連帯チームを形成する」プロセスだ。

 変革を率いる部門や現場からキーパーソンを選んでチームを構成する、いわゆるチームビルディングに当たる。ただ、メンバーの勤務地が分かれていると、いつも同じ場所に集まって会議を開くのは難しい。

 そこでビジネスチャットの出番だ。プロジェクトのキックオフは対面の打ち合わせを開くべきだが、以後の意見交換や情報共有には必要に応じてビジネスチャットを使うとよい。筆者の経験では同じようにビジネスチャットを使ってコミュニケーションする場合でも、直接顔を合わせたことがあるメンバー同士のほうがコミュニケーションの質・量ともに大きく高まる。

 4段階目の「変革のためのビジョンを周知徹底する」プロセスにもビジネスチャットが役に立つ。プロジェクトのリーダーが組織の従業員にビジョンを伝える際は、できるだけ双方向に対話しながら互いの理解度を高め、目指すべきビジョンと現状の実務をすり合わせていくのが理想だ。しかし大きな会社になると対面で全員と話をするのは難しいし、時間もかかってしまう。

 そこでビジネスチャットの動画配信機能をうまく使いたい。動画のライブ中継でビジョンの説明会を開くのだ。筆者が付き合いのある会社の中には、ビジネスチャットの動画配信機能を様々な説明会に生かしている企業が少なくない。

 文字チャットを併用して質問をその場で受け付けると、互いの理解がさらに深まる。質問の履歴が残るため、ライブ配信中に答えられなかった質問に後から回答できる。

 セミナー会場などに集まった全員の前で手を挙げて質問するよりもずっとハードルが低い。若手も含めて立場や役職を問わず、活発に質問が集まりやすい。組織のベクトルをそろえて変革を推進する土台を作れる。

図 企業変革を失敗させる8つの間違いと、推進するための8段階のプロセス
変革は一筋縄ではいかない(出所:『企業変革力』(ジョン・P. コッター著、日経BP社))
[画像のクリックで拡大表示]

この先は有料会員の登録が必要です。「日経コンピュータ」定期購読者もログインしてお読みいただけます。今なら有料会員(月額プラン)が12月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら