今回はビジネスチャットと業務システムとの連携方法に焦点を当てる。ポイントはAPIの役割を理解することだ。仲介役のクラウドサービスも活用すれば、連携機能の開発を効率化できる。

 最近のビジネスチャット製品は他のシステムと連携するためのAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を公開しているものが多い。APIと聞くと難しそうな印象を受けるかもしれないが、詳細な仕様を必ずしも理解する必要はない。最近は複雑なプログラムを記述することなく、マウス操作やパラメーターの設定といった簡単な作業でAPIを使えるクラウドサービスも登場している。API連携の仲介役と言えるクラウドだ。以下、業務システムの入り口としてのビジネスチャットの特徴と、連携機能の開発を支援する仲介クラウドについて解説しよう。

様々なシステムの「窓口」に

 改めて説明すると、APIとはソフトウエア同士がデータを受け渡したり処理を呼び出したりする仕様などデータの入出力の作法を定義したものだ。インターネットが普及する以前は同一のコンピューター内やLAN内にあるソフトの機能を、別のソフトから呼び出す形が大半だった。ネットが普及し始めた2000年代初頭、複数のWebアプリケーションを連携する技術として「Webサービス」が注目を集めるようになった。Webサービスが普及するにつれて、インターネット経由でプログラムの機能を呼び出す「Web API」を公開するWebアプリケーションやクラウドサービスが増えていった。Webアプリやクラウドが全盛の現在は、APIと言えばこのWeb APIを指すことが多い。

 ビジネスチャット製品が備えるAPIを使うと、利用者はメッセージを投稿するだけで他のシステムにデータを送ったり、他のシステムから受け取ったデータをメッセージの形で参照したりできる。複数のシステムを使い分けることなく、日常的に使うチャットを様々な業務システムにアクセスする窓口として利用できるわけだ。

 業務システムの窓口に使うツールとしてビジネスチャットとよく比較されるのが電子メールだ。ビジネスチャットが広がる前は、電子メールを使うことが多かった。

表 業務システムの窓口としてのビジネスチャットとメールの比較
素早い応答が可能に
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 業務システムとの窓口としての機能に着目すると、ビジネスチャットは電子メールに比べて優れた点が多い。まずビジネスチャットは業務システムからの通知を受け取るだけでなく、チャットのメッセージ画面から簡単な応答をすることも可能だ。具体的には本文の他に様々なボタンやコメント入力欄をメッセージ内に付加できる。

図 iPaaSによるAPI連携のイメージ
チャットに対応して処理を設定
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 例えばアンケートへの回答を促すメッセージに、回答の選択肢を示したラジオボタンと自由記入欄を載せるといった具合だ。メッセージを受け取ったらすぐアクションを起こせる。

 ビジネスチャットは多数のメッセージを見落とさないための仕組みも充実している。メッセージの振り分けに使う宛先グループや、「♯」から始まるメッセージ分類用単語のハッシュタグを送信者側が指定する。メッセージが届くとほぼ自動的に整理できる。

相手を指定し見落とし防止

 大量のメッセージから利用者にとって重要なものを気付かせる「メンション」と呼ぶ機能もある。メンションとは英語で「言及する」を意味する。メンション機能はメッセージ本文に「@」に続けて利用者のIDを入力すると該当する利用者に通知が届くというものだ。グループにメッセージを送った際、特に読んでほしい相手を指定して読み飛ばしや見落としを防ぐために使う。

 電子メールの場合、フィルターや振り分けといった作業は基本的には利用者任せだ。通知される内容もメールが届いたことのみ。結果としてメールが増えると情報の洪水となってしまい、重要なメールを見落とす恐れがあった。

 セキュリティーについても、ビジネスチャットはメッセージの誤送信や端末紛失による情報漏洩を防ぐ仕組みを備えている。最近のビジネスチャット製品はメッセージのコピーを送るのではなく、サーバー上にあるメッセージを参照する方式が主流だ。万が一メッセージを社外に誤送信しても、サーバー上のデータを削除すれば閲覧できなくなるため情報漏洩を防ぎやすい。持ち歩くスマートフォンで使うことを前提に、利用者の認証や遠隔操作で端末を使用不能にする機能も備えている。

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