深刻な人手不足に悩む物流が大きく変わる。小売業や商社、ガスなど様々な業種の企業が自ら、物流のデジタル変革を急ピッチで進めている。AIやロボットなど最新技術を駆使する「物流テック」の最前線に迫った。

NTTドコモ
――店の待ち時間削減に援軍

 2018年9月に「XS」をはじめとするiPhoneの最新モデルが日本で発売された。発売日以降、NTTドコモの店頭には目立った混乱はなかった。舞台裏に心強い援軍がいたからだ。

 ドコモが2017年末に稼働させた物流施設「東日本マーケティングロジスティクスセンター(MLC)」である。東日本地域のドコモショップにスマホを配送する役割を担う。付属品や店頭販促物、デモ機、故障代替機なども運ぶ。

東日本地域への携帯電話機や付属品の配送を担う(写真提供:NTTドコモ)
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 ドコモが東日本MLCを稼働させた最大の狙いは「店舗への配送回数を減らして店舗スタッフの作業負担を軽くし、接客品質を高めること」(住田憲一資材部端末物流担当課長)だ。店に届く荷物の受け取りや検品などの作業が、接客に費やすべき店舗スタッフの時間を奪っていた。荷物が届くたびにスタッフはバックヤードに引っ込む。その分、顧客の待ち時間が長くなり不満のタネになっていた。

販売店に配送する箱の数や配送回数を減らし店舗接客の品質向上を図る(写真提供:NTTドコモ)
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 「ショップでの手続きに関する時間の短縮に、業界を挙げて取り組むべきだ」。総務省は2018年10月22日に開いた「消費者保護ルールの検証に関するWG」で、店頭の待ち時間短縮を主要な議題に据えた。個別の企業や業界を超えて、いまや国レベルで議論される課題になった。

配送回数、4割減

 店舗への配送回数削減に向けて、ドコモは日立の協力を得て東日本MLCにマテハン技術やWMS(ウエアハウス・マネジメント・システム)を導入した。WMSとは商品の入出庫や在庫を管理するシステムのことだ。

 マテハンについてはベルトコンベヤーを使って商品を作業員の手元に運んでくる自動化技術を採用。WMSについては配送先別にスマホや付属品、販促品の重量や大きさを計算し、最小の箱数で最多のアイテムを同梱できる組み合わせを自動計算する。計算結果に配送先別の引き渡し時間などの制約条件を加えて、最適な出荷計画を自動で立案する。

日立製作所と共同で倉庫内の自動化システムを開発(写真提供:NTTドコモ)
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 東日本地域の店舗への配送回数は、東日本MLCの稼働前に比べて4割減った。1日当たりの荷物の総数は同じでも、配送回数が減った分だけバックヤードと店頭を行き来する回数が減り、待ち時間削減にも効果が出ているという。ドコモは成果を基に、西日本など他の地域へも展開を急ぐ。

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