RPAの導入が破竹の勢いで広がるにつれ、「ツールを使いこなせない」「効果が出ない」など壁に当たる企業が増えている。JTBもその1社だ。

 現場の担当者が使いこなすのがこれほど難しいとは――。JTBの澤田浩幸経営戦略本部IT 企画担当マネージャーが昨秋に実施した、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)導入の実証実験で得た実感だ。

 JTBは2018年4月にRPAの導入を始めた。業務担当者にRPAツールを配布し、各現場の業務向けの自動化プログラムであるソフトウエアロボットをそれぞれ開発してもらうことにした。「対象となる作業の内容に詳しい人がソフトロボを作っていくのがよい」(澤田マネージャー)との考えからだ。同社が採用したRPAツールはユーザーがPC操作をするとその通りに動くソフトロボを自動で開発できる機能を備えていた。

 RPAツールは現場の担当者でも簡単に使える―。澤田マネージャーは当初、多くの業務担当者がソフトロボを次々と開発する状況を期待していた。ところが現実はほど遠く、多くの業務担当者はRPAツールを使うのに当初は悪戦苦闘した。

図 企業が抱きやすいRPA導入前の期待と導入後の現実の例
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 「変数って何だろう…」。ある業務担当者はRPAツールの開発画面に表示されるプログラミング関連の用語になじめず、本業の忙しさもあってツールを何日か塩漬けにしたまま使わなかった。久しぶりに起動してみたときには使い方をすっかり忘れてしまっていたという。

 RPAに対する理解が不十分で過度な期待を抱いた人もいたという。「RPAをAI(人工知能)と混同する恐れもある。RPAとは担当者が行うPC操作を模倣する技術だといった周知が必要だった」と振り返る。

 JTBはグループの情報システム子会社に協力を得て、RPAの普及や導入支援策を練り、巻き返した。1台のソフトロボで1カ月当たり十数時間のPC作業を自動化するなど、一部の部署では少しずつ成果が出つつある。2018年4月の本稼働以降、同社は着実に成果を上げている。例えばグループの出版会社が書籍の売れ筋ランキングを作成する際のデータ集計をRPAで自動化した。JTB本体でも、勤怠管理システムに登録してある勤務データのチェック作業を自動化した。

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