「日本全国の店舗、ひいては日本人全員が使うサービスにせよ」。ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長が大号令をかけた。ソフトバンクとヤフーが2018年10月5日に始めたスマホ決済サービス「PayPay(ペイペイ)」に対してだ。

写真 「PayPay」による店頭での支払いシーン
特別な機器は不要だ(写真:陶山 勉)
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 PayPayは新サービスを担う会社名でもある。銀行口座からお金をスマホアプリにチャージしておくか、クレジットカードをアプリに登録しておけば、実店舗で買い物をする際に現金を使わずに支払いを完了できる。

 「利用者を限定する決済サービスではだめだ。特定の企業イメージがつかないよう考慮した」。PayPayの中山一郎社長はソフトバンクとヤフーという親会社の看板ではなく、新ブランドを掲げた理由をこう説明する。

 孫社長の大号令の効果か、PayPayの加盟店はサービス開始前に30万を超えたもようだ。大手ネット企業や銀行がしのぎを削るスマホ決済サービスに新たな本命候補が登場した。

常識破りのマイナス手数料

 PayPayはスタートダッシュに向け、大胆な価格設定と営業体制を取った。業界関係者を驚かせたのが「2019年1月末まで、先着30万店舗にPayPay決済金額の1%を還元する」というキャンペーンだ。

 決済サービスは通常、加盟店からの決済手数料を収益源の柱としている。手数料を受け取るどころか還元するPayPayのやり方は常識破りといえる。キャンペーンは終了したが、小規模店舗を中心に「3年間は決済手数料0円」の施策を続けている。

 PayPayは加盟店の開拓に向け、決済業界では群を抜く規模の営業体制を整えた。2018年9月までに全国20拠点を構え、数千人の営業要員を動員した。

 2018年春にまず福岡に拠点を設け、加盟店の開拓を始めた。営業責任者の畑中基取締役は中心地の天神で自ら営業に出た。全国展開に当たり必要な体制を見極めるのが狙いだ。「1日に25件回り、3件ほどの成約率だ」と畑中取締役は振り返る。

 福岡で得た経験を基に、東名阪を中心に拠点を拡大。担当者はiPadを片手に、現金決済が主流の小規模店舗に飛び込み営業をかけた。2000年代前半に街頭に大きな傘を出してADSLサービスの加入を呼びかけた、Yahoo!BBの「パラソル作戦」さながらの力技でスマホ決済の普及を目指す。

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