AIやIoTを駆使する「畜産テック」によって、人手を中心とした畜産・酪農の現場が変わり始めた。デジタル化する牧場の現場を見てみよう。

汚水とふんにまみれた施設、水漏れしたタンク―。不衛生な家畜の飼育現場は、過去の話になりつつある。設備の状況をきめ細かく把握し、家畜にも農家にも快適な環境を作る。

 従業員数を変えずに飼育する家畜の頭数と出荷頭数を2倍に増やす―。宮崎県中部、日向灘に面した川南町で家畜の飼育から食肉加工品の生産、販売までを手掛ける養豚農家、協同ファームは野心的な目標を掲げる。

 2018年5月に繁殖用の豚舎を新築。家畜数の目標はほぼ達成済みだ。豚の飼育に携わる従業員は12人のまま、母豚の数を1000頭と約2倍に増やした。2019年初めに肥育用の豚舎も新たに稼働させ、同年5月までに出荷頭数を倍以上に伸ばす。

 目標達成のカギはIoTだ。設備の稼働状況を見える化するシステムを繁殖用と肥育用の豚舎それぞれに導入し、餌の減り具合やふん尿の処理状況をいち早く把握して豚の飼育環境を常に良好な状態に保つ。システム開発は九州を中心にIoT事業などを手掛けるシステムフォレストが担当した。

 管理対象は井戸水をくみ上げる装置や汚水の浄化設備、ふん尿処理装置、飼料タンクなど。それぞれにセンサーを取り付けて稼働状況のデータを集め、設備全体の稼働状況をリアルタイムに把握する。例えば豚舎の床下で動かすふん尿処理装置の稼働状態を監視し、止まったらすぐ保守できるようにして衛生を保つ。

 以下は協同ファームが導入した設備管理システムの様子だ。設備の稼働状況をリアルタイムで把握できる。

飼料タンクの重量で餌の残量を計測
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浄化槽の稼働状況は膜厚センサーで計測
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豚舎床下の集ふん装置のスイッチ。大きな「へら」をワイヤーで引いてふんをかき集める
(豚舎の写真提供:システムフォレスト)
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水の使用量などをリアルタイムで表示
(画像提供:システムフォレスト)
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事務所のモニターやスマホから確認可能
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