コスト削減の道具から「攻め」の武器へ。企業戦略におけるAIの位置づけが変わりつつあることが初の100社調査で見えてきた。既に企業の8割はAIを活用し、その多くは自社製品やサービスの革新に期待をかける。

 日本企業がAIに最も期待するのはコスト削減ではなく、自社の製品やサービスを革新し、売り上げや利益を高める「攻め」の役割である―。

 日経コンピュータと日本経済新聞が実施したAIの活用状況に関する独自調査から、こうした実態が浮かび上がってきた。調査は2018年7~8月、国内大手企業に調査票を送付する形で実施。製造業62社と非製造業51社の計113社から回答を得た。

図 国内大手企業113社への調査から判明したAI活用状況
これが等身大の日本企業だ
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 調査結果を分析したところ、AIと向き合う国内大手企業の典型的な実像が浮き彫りになった。例えばAIは国内の大手企業にとって「使って当たり前」の存在になっている。8割超の企業がAIを活用しており、そのうち6割は期待通りか期待以上の効果を得ている。その一方で、AIの学習に必要なデータを収集する体制の整備は不十分であり、まだAI活用の途上にある。以下、AI活用に関する日本企業の等身大の姿を詳しく見ていこう。

製品やサービスの革新に活用

 AIを「活用している」と回答した企業は全体の83.2%に上った。「活用していないが今後活用する」と15.0%の企業が回答し、合計すると活用意向を持つ企業が全体の98%を占めた。「活用しておらず今後活用する予定もない」と回答した企業はなかった。

 AIの適用先を複数回答で聞いたところ、「自社製品・サービス」を挙げる企業が回答企業の54.3%と最も多かった。これに「製造」(45.7%)、「研究」(42.6%)、「顧客対応」(40.4%)が続いた。一方で「総務」や「経理」、「経営」にAIを活用している企業はそれぞれ10%に満たなかった。

Q どんな用途にAIを活用していますか(n=94、複数回答)
自社製品・サービスへの活用が最多
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 国内大手企業がAIを活用する最大の動機は「既存の製品やサービスの革新」である。有効回答があった85社のうち、最も大きな期待として挙げた企業が37.6%、2番目に大きい期待とした企業が25.9%だった。合わせると6割強を占めた。

 それに続くのが「コストの削減」。1番目または2番目の狙いとして挙げた企業は合わせて44.7%だった。

Q どのような狙いでAIを活用しましたか(n=85)
既存製品の革新が最大の狙い
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 「売り上げの拡大」や「新規事業の開拓」を1番目または2番目の期待として挙げた企業もそれぞれ2割程度あった。製品の競争力を高め、売り上げを拡大させる「攻め」のAI活用に力を入れている様子が見て取れる。

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