2019年10月1日、3度目の増税により、消費税が10%に上がった。本丸の税率変更よりも、付随して始まった2つの新制度のITリスクが高まっている。「軽減税率」と「キャッシュレス・ポイント還元」は十分にIT対応し切れていないからだ。

吉野家はポイント還元を諦め、セブンイレブンは軽減税率対応で説明不足があった
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 低減税率制度により「飲食料品」と「定期購読契約に基づく新聞」は8%のままで、それ以外の商品・サービスは10%に上がった。同制度に対応するには商品ごとに税率を適切に当てはめて税額を計算し、レシートに表示しなくてはいけない。小売り・サービス各社は例外なくPOSシステムや会計システムの改修を迫られた。

 準備の遅れが懸念されたのが中小企業だった。2019年5月に日本商工会議所が調べたところ、中小企業の4割が対応に「未着手」のまま。世耕弘成経済産業大臣(当時)は2019年9月10日、中小企業が9月末までには24万台前後を導入する見込みだと述べた。

 「必要な事業者に行き渡るだけの対応レジは供給できつつあるのでは」とした一方で、一部に対応の必要性を認識していない中小企業があるとの認識も示した。今なお対応レジの導入遅れで代金を間違えるリスクが残る。

 対応レジを導入できたとしても、運用にもリスクが潜む。例えば飲食料品のうち酒類などは軽減税率の対象外だ。商品ごとに軽減税率の対象か対象外かを確認したうえで、商品マスターに税率を適切に反映しないと、本来8%で済むところが10%支払うといった計算ミスのトラブルにつながる。

 さらに「イートイン」の存在が対応を厄介にしている。持ち帰れば8%の飲食料品でも、スーパーやコンビニエンスストアなどの店内で食べる場合は軽減税率が適用されず、税率は10%としなければならない。

 イートインへの販売価格対応はばらばらだ。日本ケンタッキー・フライド・チキンやすき家本部、松屋フーズは同じ商品なら店内飲食でも持ち帰りでも税込み価格を同額とした。税抜きの価格を変える対応を取った格好だ。

 一方、吉野家は税抜き価格を変えず、顧客の申告に基づいて税率を計算する。持ち帰るかイートインを利用するかで税込み価格は変わる。レジでは原則として顧客の申告通りに処理すればいいが、オペレーションを誤ると計算ミスにつながるリスクがある。

 吉野家と同様に「申告ベース」で代金を計算するセブン-イレブン・ジャパンは2019年9月16日にイートイン対応のPOSシステム変更を前倒して稼働させたところ、「値上げだ」と指摘された。

 15日まではレジで各商品の税込み価格を合算していた。これを16日からは10%の商品と8%の商品についてそれぞれの税抜き価格を合算したうえで10%ないし8%を乗じて消費税額を算出する方式に変更した。

 例えば税抜き価格93円、8%の税込み価格100円のおにぎりを3個買うと、15日までは「税込み価格100円×3個」で300円だった。16日以降は「税抜き価格93円×3個×税率1.08」で301円と1円高くなった。プログラムミスではなく、計算方法の変更だが、顧客への周知が足らなかった。

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