愛犬と会話ができたらどんなに素敵だろうか、透明人間になれたら何をしたいか。誰もが欲しがる5つの道具も、決して夢ではない。AIが人の能力を超えるとされる2045年には、きっと実現しているだろう。

眠ったお金で資産運用
カネバチ(超小型ドローン、軽量化素材)

 「眠っているお金を再び世に出せば、日本のためにすごく役立つ」。ドブさらいをしていて100円玉を見つけたのび太はドラえもんをこのように説得し、「カネバチ」というひみつ道具を出してもらう。数十匹のハチが道端などに落ちている小銭を勝手に見つけて拾ってきてくれるという話だ。

カネバチ
(©藤子プロ・小学館)
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 第一生命経済研究所によると、日本に眠る「タンス預金」の総額は2019年1月末時点で50兆円の大台を突破。前年比5%のペースで増えているという。政府は長年にわたって「貯蓄から投資へ」の方針を掲げて規制緩和を進めてきたが、狙い通りに進んでいないのが現状である。

 ところが近い将来、何気なく生活をしているだけで資産運用が可能になる時代がやってきそうだ。背景にはデジタル技術の進化がある。

 セブン銀行と投資アプリを手掛けるTORANOTECは共同で「リアルおつり投資」プロジェクトの実証実験に着手する。セブン銀行などが開発した「おつり投入ボックス」をコンビニエンスストアなどに設置。買い物の際に生じた小銭を投入するだけで、TORANOTECの子会社が提供するおつり投資アプリ「トラノコ」にチャージされ、同アプリが提供しているファンドに投資できる仕組みだ。金融庁の「FinTech実証実験ハブ」支援案件に採択されている。

TORANOTECのおつり投資アプリ「トラノコ」(画像提供:TORANOTEC)
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 トラノコはもともと、クレジットカードや電子マネーによる購買データを収集し、仮想的に「おつり」を算出。おつり分を銀行口座から投資口座へと自動で資金移動させて投資するサービスだ。

図 おつり投資の仕組み
購買情報を基に自動で投資
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 例えば「1000円単位」と設定した場合、400円の買い物をすると差分の600円をおつりとみなす。毎月、このおつりの合計額を投資に回すわけだ。資金移動のトリガーとなる購買データは、家計簿アプリからAPIアプリケーション・プログラミング・インターフェース)経由で集める。カード会社などのアカウント情報を預かって収集することも可能だ。

 これまではキャッシュレス決済を利用していなければトラノコを利用するのは難しかった。リアルおつり投資が商用化すれば、現金を好む層にも対象を一気に拡大できる。投資への意識が広がれば、タンスで眠るお金を呼び覚ますことにもつながる。まさにカネバチの理念実現につながる。

虫サイズのドローンが実現の鍵

 一方で、カネバチのように落ちている硬貨を自動で拾う小型の飛行物体を作るハードルは高い。「(虫のサイズで硬貨を運べる飛行物体は)永遠に実現しない」と、ドローン開発を手掛けるエアロネクストの大河内雅喜空力研究所上席研究員は語る。

 ネックになるのがバッテリーだ。バッテリーの能力は年々向上してはいる。だが、硬貨を運べるほどの動力を生み出せるバッテリーが、虫サイズの超小型ドローンに搭載できるほど小型化するのは少なくとも今後10~20年は難しいとみられる。

 ただし、小型で自律飛行するだけのドローンであれば10年後には実現できるとみる。自己位置推定や姿勢制御など自律飛行に必要な計算能力を持つチップの小型化は順調に進んでいるからだ。

 「ペットボトルのキャップ大の超小型ドローンは登場するかもしれない。500円玉を運ぶのは無理だろうが、1円玉なら運ばせられる可能性はある」(大河内上席研究員)。投資対効果はさておき、自動で落ちている小銭を集めて運用することも夢ではないかもしれない。

 いや待て。現在の硬貨が今よりもずっと軽くなり、100円玉や500円玉に採用されれば、状況は大きく変わるかもしれない。将来、軽量で加工しやすく変形しにくい物質が安価に出回り、例えば1グラムの100円玉や500円玉、あるいは千円玉が登場するとしたらどうか。

軽量な硬貨が登場すれば

 軽量化材料として注目を集める「炭素繊維」はその候補と言える。軽量でありながら高い強度を誇る素材だ。今は材料価格の高さがネックだが、技術開発は加速しており、将来的に価格を下げられる可能性は高い。

 ここまできたら「カネバチ」のような超小型ドローンの出番だ。「10年後には完全なキャッシュレスの世界が訪れているのではないか」という声もあるだろう。しかし政府の成長戦略が掲げるKPI(重要業績指標)では、2025年6月までにキャッシュレス決済の比率を4割にするとしている。10年後も一定の割合で現金が残っている公算は大きい。

 もっとも、小銭と言えども落とし物を勝手に自分のものにするのは遺失物横領罪に当たる。このことは作中でのび太のママも指摘しているので、注意しなければならない。

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