日本でもコミュニティを起点とした起業支援の動きが出てきている。日本は起業大国になれるのか。日本版コミュニティの現状と課題。

 起業大国フランスにならい、日本でもコミュニティを起点にしたフランス流起業支援の動きが少しずつ出てきている。2016年に電通国際情報サービス(ISID)や電通、三菱地所が立ち上げたFinTech企業向け施設「FINOLAB」と、ハードウエア企業向け施設「DMM.make AKIBA」が好例だ。

 生体認証決済のLiquidや家計簿アプリのマネーフォワードなどが会員として名を連ねるFINOLABは、開所当初からコミュニティの醸成を重視していた。入会の条件は「客ではなくメンバーとしてコミュニティを盛り上げること」。安全・安心に情報を交換できるよう、会員企業の従業員1人ひとりについて反社会的勢力との付き合いがないかを三菱地所がチェックする。

イベントスペースで研修やミートアップ、記者会見を実施できる
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 同じFinTech企業でもIT業界出身と金融出身とでは企業の文化が全く違う。FINOLABを運営するISIDの伊藤千恵金融事業開発部長は異文化企業同士の融合を図ってきた。毎月1回、キーパーソンを呼んでイベントを主催したほか、毎週木曜夜には入居企業の従業員らに無料でビールとピザをふるまった。「FinTech企業には若い社員が多く、またたく間にピザが消えていった」と伊藤部長は笑う。現在は毎週木曜にミートアップと懇親会を開いている。

週に2、3回は何らかのイベントを開催している
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 FINOLABは10社ほどの企業会員が参画している。そのうちの1社であるみずほ銀行はFINOLAB内に銀行APIを通じたFinTech企業との連携を目指すラボを設置している。当初はスポンサー枠で大企業を受け入れることも検討したが、コミュニティの一員であることが重要と考え、企業会員という形を取った。「コミュニティを商材にはしない」ことが、FINOLAB開設当初から一貫した方針だという。

 三菱地所はFINOLABに加えて、SAPジャパンと連携して企業のイノベーションを支援する施設「TechLab(仮称)」を2018年11月にFINOLABと同じビル内に開設する。「金融やロボット、AIなど多様な企業が集い、階段で気軽に行き来できるようになる」(三菱地所 ビル営業部の堺美夫統括)。

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ISIDの伊藤千恵金融事業開発部長(左)と三菱地所 ビル営業部の堺美夫統括

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