アフリカで今、先進ITを活用した新たなサービスが次々と誕生している。銀行や固定電話、高速交通網といった先進国では見慣れたインフラが整っていない。そうした「後発」の立場を強みに、先進国をしのぐ最先端の仕組みを一足跳びに生み出している。砂漠の乾いた土が水をどんどん吸収するかのように人々や企業、社会は新たなITを受け入れていく。

先進国をしのぐ最新のITによって、アフリカの交通事情が大きく変わろうとしている。スマートフォンとデータ解析を活用した新サービスの導入が急ピッチで進む。蓄積したデータはサービス改善だけでなく、都市計画の立案にも役立てる。

 アフリカの多くの国で人々の生活の足となっているのがバイクタクシーだ。ルワンダもそんな国の1つである。

 街中にあふれるバイクタクシーでひときわ目を引くのがヘルメットに「Yegomoto(ヨゴモト)」のワッペンを付けた赤色のオートバイだ。Yegomotoはバイクタクシー関連サービスの名称であり、バイクタクシー運営会社のヨゴイノビションが首都キガリを中心に2000台以上展開している。

Yegotomoを導入し、ドライバーの収入は30%増えた
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 特徴はハンドル付近に据え付けてあるスマホだ。通話機能は持たないものの、GPS(全地球測位システム)を使って移動距離に応じた運賃を割り出したり、通信事業者が提供する送金サービス(モバイルマネー)で決済したりする機能を備える。アフリカの過酷な気候に耐えられるように、落としたり水に濡れたりしても壊れない頑丈なつくりだ。スマホは中国製とみられる。

ドライバーの収入が3割増

 「かつて、乗客との運賃交渉はだまし合いの連続だった」。同社ドライバーの1人、ハビヤリマーナ・アレックス氏はこう振り返る。Yegomotoを導入するまで、乗客と相対で運賃を交渉し、その場で決めていたからだ。「駆け引きに負けることも少なくなかった」(アレックス氏)。Yegomotoはドライバーを料金交渉のストレスから解放した。

 別のドライバーのトゥイゼレ・エゼキエル氏は「1日の収入が1万5000ルワンダフランから2万ルワンダフランほどに増えた。いつかは家を建てて、新しいバイクを買いたい」と笑顔を見せる。ドライバー全体でみても約30%の収入増につながったという。

 Yegomotoは交通事故や犯罪の防止にも一役買っている。ルワンダの交通事故の7~8割はオートバイ絡みとされ、事故の削減は国レベルの課題だ。Yegomotoはドライバーにそれなりの高さのハードルを設けている。ドライバーは運転免許証や車検証に加え、日本のマイナンバーに相当するIDカードなどの必要書類をそろえ、同社センターで訓練を受ける必要がある。

 それでも、価格交渉から開放される働きやすさや高収入が評判を呼んだ。夜を中心に活動し、事故や犯罪を起こしがちだった違法ドライバーがヨゴイノビションのドライバーに次々と転じている。Yegomotoはスマホ経由で速度データを収集しており、キガリ市内なら時速40キロメートル、市外なら同60キロメートルを超えるとアラートを鳴らす。これにより速度超過による事故も抑制する。

 収入が増え、交通安全にも役立つ――。Yegomotoの導入メリットは高いとみたルワンダ政府は年内にも、同国にある全2万台のバイクタクシーをYegomotoに統一すると決めた。

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