新しい娯楽サービスを生み出す、商品の売り方を変える──。プロ野球、プラネタリウム、旅行や住宅業界でそんなVR活用が進む。VRで顧客ニーズに応える事例とそれを支援するITベンダーのVRサービスを紹介する。

ソフトバンク
球場フェンス内から観戦、遠隔地の友人が隣で熱狂

 野球場の観客席の最前列よりさらに前、フェンスの内側でプロ野球を観戦する。スタンドの歓声に包まれながら、選手と投球を間近に見る。山場の8回裏、ホームランで興奮は最高潮に達した。隣では、遠くに住む友人が腕を振り上げて歓声を上げている――。

 ソフトバンクはこんな夢のような野球観戦を実現するVRシステムを開発し、福岡ソフトバンクホークスと共同で今年3月20日から23日にかけて実証実験をした。観戦者がヘッドマウントディスプレー(HMD)を装着すると、目の前に生中継の映像が広がる。

 ホークスの本拠地「福岡 ヤフオク!ドーム」に5G(第5世代移動通信システム)ネットワークを構築。球場の上部に設置した5G基地局にカメラから高精細の映像を送り、そこから観戦者のいる球場内の部屋に伝送した。

 カメラはバックネット、1塁側、3塁側、ライトスタンドの4カ所に設置し、観戦者1人ひとりが自由に視点を切り替えられる。さらにVR空間のアバターを介して他の観戦者とコミュニケーションを取れる仕組みにした。アバターの顔の向きや腕は、HMDを装着した観戦者の体の動きに連動する。アバターが話す声に合わせて口が動く「リップシンク」技術も採用し、アバターの実在感を高めた。

 HMDには米フェイスブックのVR専用製品「Oculus GO」を使った。今回のシステムによる実サービスの提供は未定だが、近い将来球場に足を運ぶよりも生々しいプロ野球観戦が可能になるかもしれない。

図 ソフトバンクが開発したVR観戦システムのイメージ
VR空間で友人と野球観戦 5人の体験者でライトスタンドから観戦したときのイメージ。VRシステムの説明用画像なのでアバターが映っているが、実際には自分のアバターから見える光景が広がる(画像提供:ソフトバンク)
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ライトスタンドの他、バックネットの前、1塁側スタンド、3塁側スタンドにも視点を切り替えられる。どの視点に切り替えても全アバターはVIPルームの中にいる
(画像提供:ソフトバンク)
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