ネットサービスを得意とする中国IT大手のアリババ集団や京東集団が、ここにきてリアルの小売業界に相次ぎ参入。新機軸の店舗で一大旋風を巻き起こしている。短期間で消費者のハートをつかんだ背景には、徹底したデータ活用戦略があった。

 北京や上海をはじめとする中国の大都市近郊で、ここ1年ほどの間に店舗数を急速に拡大させた食料品店がある。真っ青な看板が特徴の食品スーパー「盒馬鮮生」(フーマー・フレッシュ)。手がけているのは中国の電子商取引(EC)最大手のアリババ集団だ。

図 アリババが展開する食品スーパー「盒馬鮮生」
セブンやイオンを凌駕する中国の「新小売」
[画像のクリックで拡大表示]

 リアルの小売りとは無縁だったアリババの異業種参入に中国都市部の市民が喝采を浴びせる背景には、ITを駆使してサプライチェーンを磨き上げ、データ分析に基づき市民のニーズに応えるアリババの「新小売」戦略がある。

 盒馬鮮生の入り口から店内に進むと、まず肉や野菜などの売り場が見えてくる。特徴的なのは冷蔵ショーケースと商品のパッケージに大きく掲げられた数字だ。この数字は曜日を表す。「3」であれば「星期三」(水曜日)だ。数字の脇には「不売隔夜肉」(夜をまたいだ肉は売りません)とのキャッチコピーを付けている。「その日に売れる数量だけを製造・入荷してその日のうちに売り切っている」(盒馬鮮生の店員)。仮に商品が売れ残れば廃棄することになるが、実際には「そうしたロスはほとんど出ない」(同)という。

肉や一部の野菜は入荷曜日を明示。閉店までに売れる量だけ仕入れる
[画像のクリックで拡大表示]
[画像のクリックで拡大表示]
[画像のクリックで拡大表示]

 肉などの需要を高い精度で予測できるのは、データ活用を徹底しているからだ。盒馬鮮生は会員制を採っており、顧客が買い物をする際は専用のスマートフォン(スマホ)向けアプリでの会員登録を必須としている。この会員制度はアリババグループの決済サービス「支付宝(アリペイ)」などとひも付いており、盒馬鮮生への来店履歴や購入履歴を蓄積している。全顧客にIDを付与して全ての販売履歴を分析できるため、食品スーパーで一般的なPOS(販売時点管理)データによる需要予測よりも精度を高められる。

この先は有料会員の登録が必要です。「日経コンピュータ」定期購読者もログインしてお読みいただけます。今なら有料会員(月額プラン)は12月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら