中国ネットサービス最大手のテンセント(騰訊控股)が正念場を迎えている。稼ぎ頭のゲーム事業は若年層の利用規制強化で頭打ち。メッセンジャーサービス「QQ」やスマホ向けSNS「微信」(海外版はウィーチャット)は高いシェアを維持しているが、景気減速のあおりを受けて広告収入が伸び悩む。

 代わって成長をけん引するのはFinTechに代表される金融関連の新しいサービスだ。テンセントは2019年1~3月期の決算発表でFinTechサービス関連の売上高を初めて公開した。218億元(3488億円)と全体の25%を占めた。

 モバイル決済の市場ではアリババの「アリペイ」が長らくトップシェアを握っていたが、テンセントは微信に追加した決済機能「ウィーチャットペイ」で急速に追い上げている。

 テンセントにとって、ウィーチャットペイの成功は2つの重要な意味を持っている。

 1つは国外事業の拡大だ。アリペイほどではないが、ウィーチャットペイは多くの国と地域で中国人観光客を対象に決済サービスを提供している。現地の事業者と連携し新たな広告サービスなども手掛ける。それ以外の国外事業については、研究およびゲームコンテンツの獲得と投資活動にとどまる。

 もう1つはウィーチャットペイをベースにした様々なFinTechサービスの展開だ。理財商品と呼ばれる高利回りの金融商品を提供するプラットフォーム「理財通」、民営銀行「微衆銀行」の設立や保険サービス「微保」、信用評価サービス「微信支付分」などがある。

 現在アリペイとウィーチャットペイの2つで、中国モバイル決済市場の9割超のシェアを占める。強調したいのはアリババもテンセントもモバイル決済の手数料の拡大にこだわっていないことだ。決済から他の様々なサービスへ誘導してデータを得ることを最も重視している。獲得したデータを分析し次のサービス展開につなげる狙いだ。

 アリペイとウィーチャットペイの競争はオンライン決済の領域にとどまらず金融エコシステム全体に広がるとみられる。

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