富士急ハイランドはAI(人工知能)による顔認証システムを2018年7月に導入した。全アトラクションの搭乗口で紙のチケットに代わる「顔パス」を実現している。来場者の行動データは今後マーケティングに生かす。

 世界最大級のジェットコースターで知られる、山梨県富士吉田市の遊園地「富士急ハイランド」。入園は無料で、アトラクションに乗るには搭乗チケットを購入する。ただし紙のチケットを搭乗口で見せる必要は無い。来場者の顔がチケット代わりになる「顔パス」方式を採用しているからだ。来場者は搭乗口でカメラに顔を向けて「OK」の表示が出れば通ることができる。

 顔パスはAI(人工知能)による顔認証システムを使ったもの。パナソニックに委託して開発し、2018年7月に園内の全施設に導入した。Web登録やチケット発券のサブシステムについては、親会社の富士急行が開発している。

 きっかけはマーケティング施策として入園を無料にしたことだった。無料で園内に入れるようにしたため、「来場者の安全性と安心感を高める施策が必要になった」と富士急行の斉藤隆憲執行役員企画部部長は話す。その1つが顔認証システムだった。

 紙のチケットを見せる手間を無くし来場者の利便性を上げたり、来場者の行動ログを取ったりする目的もある。

図「 顔パス」でアトラクションに搭乗
富士急ハイランドが導入した顔認証システム
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認証精度を高めるため工夫重ねる

 顔認証システムでの顔パスの流れは「登録」と「認証」の2段階に分かれる。

 顔の登録は入園ゲートで行う。来場者はアトラクションに乗らない人も含めて原則として全員、入園ゲートのカメラで顔を撮影する。顔写真は顔認証システムのサーバーに送られ、目や鼻、口などの位置や大きさを基に「特徴量」と呼ぶ数値データとして、購入した搭乗チケット情報と合わせてマスター登録される。

 搭乗チケットは入園ゲートに入る前に購入する。その際は紙のチケットが発行される。

 来場者はWebサイトでチケットを購入することもできる。その場合、合わせて顔写真をオンライン送信しマスター登録することも可能。チケットはスマートフォン画面に表示する「E-TICKETS」として発行される。

 続く認証については先述した通りだ。来場者がアトラクションの搭乗口でカメラに顔を向けると、撮影された顔写真は顔認証システムのサーバーに送られ、特徴量をマスターと照合。一致する来場者のチケット購入情報を参照し、搭乗資格があれば搭乗口の端末に「OK」と表示する。カメラで撮影してから結果が返るまでは2~3秒。円滑な搭乗の妨げにならないという。

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