金融から製造・サービス業へ、大手から中堅中小へ――。PC操作を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)が一段と身近な存在になりつつある。先行企業への取材を基に、RPAを徹底的に使い倒すための勘所と注意点を48個示そう。

手軽だからと言って無計画に開発すると、作っても使われない「野良ロボット」の氾濫で終わる。「企画」「開発」「稼働後」のフェーズごとに様々な工夫を凝らしたい。

RPA32 利点を示すのが理解を得る近道

 本格導入を決める前の企画フェーズにおけるポイントは、現場が実感しやすい利点を明確に示すことだ【RPA32】。サントリーホールディングス(HD)が最初にRPAを適用したのは若手社員の毎朝の作業。複数のシステムからデータをダウンロードしてExcelファイルにまとめる操作だった。

 日々の作業だけに現場担当者は「その作業が無くなればどの程度楽になるか」がイメージしやすかった。「現場から喜ばれたし、経営層からも導入のゴーサインを得られた」(大野部長)。

RPA33 10体試作でコツをつかむ

 企画フェーズでは何体かのソフトロボを試作して、開発の勘所などを押さえておきたい。では、いったいどれくらいのソフトロボを開発すればよいのだろうか。取材の結果として導き出せたのは「10体ルール」とも言うべき経験則だ。横河電機、大和ハウス工業、JFEエンジニアリングなど、成果を上げている企業は概ね10体前後のソフトロボを試作していた。10体作れば「開発を進めていくうえでの課題を洗い出せる。全社展開がスムーズに進められる」(横河電機の富沢課長)【RPA33】。

図 RPAのPoC(概念実証)で直面した課題と解決策の例
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RPA34 現場の「マクロ使い」を探す

 企画フェーズではソフトロボの開発体制を考えておく必要もある。まず探したいのは、Excelマクロを普段から活用している現場担当者だ。SMFLキャピタルは該当の人材を探し出してRPAツールの使い方を教え、開発を任せている。「自動化の対象業務をすぐに把握してくれるうえに、RPAツールもすぐ使いこなせる」(SMFLキャピタルでRPAの導入に携わるクオリティ部の秋重和成氏)【RPA34】。

RPA35 稼働後を見据え体制整備

 体制整備では開発を終えてソフトロボを稼働させた後のフェーズまで見据える必要がある。JFEエンジニアリングではIT部門がRPAの開発・保守の体制を整えている。「操作対象のWebブラウザのサイズが変わっただけでソフトロボが動かなくなることが、稼働後に分かった。不具合にすぐ対応できる体制が欠かせない」(JFEエンジニアリングの尾崎康史基幹アプリケーション開発部長)【RPA35】。

RPA36 身の丈に合ったツールを選ぶ

 RPAツール選びも企画フェーズの重要なポイントだ。高度な操作が可能な製品は価格が数千万円と割高で、使いこなせないことがある。パソナテックの末久裕二執行役員は「コストや開発しやすさなどの観点から身の丈に合った製品を選ぶべき」と述べる。同社はSprout upのRoboStaffなど、初期費用が100万円以下のRPAツールを採用している【RPA36】。

RPA37 ロボを動かす環境を決める

 ツール選びと並行して、ソフトロボをサーバーで稼働させるか、それとも利用者のPCで動かすかを決めるとよい【RPA37】。サントリーHDは各部署の業務の効率化を優先させるためにPCで動くソフトロボをまず稼働。その後、管理がしやすいサーバー型に移行していく計画だ。

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