金融から製造・サービス業へ、大手から中堅中小へ――。PC操作を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)が一段と身近な存在になりつつある。先行企業への取材を基に、RPAを徹底的に使い倒すための勘所と注意点を48個示そう。

OCR(光学的文字認識)に人工知能(AI)、IoT(インターネット・オブ・シングズ)、ビジネスチャット。様々なITとの掛け算で効果を高める名脇役がRPAだ。自動化の限界を突破し、効率化をもう一歩進められる。

 RPAと組み合わせるITとして最も注目が集まっているのがOCRだ。オフィスには「オペレーターが紙文書の内容を見てPC画面にデータをキー入力する」といった作業が依然として残る。「紙文書の内容をOCRでデータ化できれば、データ入力などの手作業を省ける」(アビームコンサルティングの安部慶喜執行役員プリンシパル)。

RPA13 OCRとの相性は抜群

 OCR自体は以前からある技術だ。手書き文字を高精度に読み取ることはできるものの、データを読み込ませたり結果を後続のシステムに引き渡したりする作業には人手がかかっていた。識別できない文字があった際のエラー処理も同様である。こうしたOCRの弱点をRPAにより補強できる【RPA13】。

図 OCRとRPAを組み合わせた業務自動化の例
(画像提供:アルヒ(申込書とOCRソフト)、アスカコーポレーション、ネクストウェア(翻訳画面))
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 住宅ローンを手掛けるアルヒは、顧客から受け付けたローンの申し込み手続きをOCRとRPAで自動化している。全国に130カ所ある店舗の担当者が顧客から紙の申込書などを受け付けると、複合機に読み込ませて紙文書をPDFデータに変換。社内システムに登録する。

 次に本社で稼働するPC操作用のソフトロボと文字をスキャンするロボが連携して、社内システムからPDFデータを取り出し、OCRでテキストデータに変換。審査システムに入力する。

 「1時間かかっていた処理時間を10分に短縮できた。申し込んだ顧客にすぐ審査結果を伝えられるようになった」(アルヒの西田哲システム部長)。

RPA14 OCRの精度に過度な期待は禁物

 OCRソフトを使う際の課題が、紙文書に書かれた文字の読み取り精度だ。「精度が100%ではない前提で、RPAとの組み合わせを検討した」と電通の小栁肇ビジネスプロセスマネジメント局長は振り返る【RPA14】。

 電通は2017年春から、働き方改革の一環で米UiPathのRPAツールを使いソフトロボの導入を開始。2018年春までに600体を稼働させてきた。広告原稿の内容と元の出稿依頼データの差異を確認する作業に、OCRとRPAを組み合わせている。

 電通は読み取り箇所ごとに認識精度を数値で示すOCRソフトの機能に着目。読み取り精度が低い箇所を、ソフトロボにピックアップさせている。こうすることで一定の作業品質を確保しつつ、社員が全件をチェックしていた時よりも作業時間を半減できた。

RPA15 大画面ならロボも作業が容易

 アスカコーポレーションは2018年5月に始めた自動翻訳サービスで、OCRとRPAを組み合わせて工夫を凝らす。ソフトロボが動くPCに32インチ型の4Kディスプレイを接続。高精細な大画面にPDF形式の文書データを表示させ、ソフトロボが文字画像を取得して、OCRにかけている。「高精細な文字画像を取得できるので、精度よくOCRで認識できる」(開発担当のネクストウェアの安冨良氏)【RPA15】。

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