ユーザー企業はコスト削減を目的に多くのシステム子会社を設立してきた。
中には親会社が経営破綻したり買収されたりして、全く別の社名に変わったり、会社が無くなってしまったケースもある。2000年前後の大型ITアウトソーシングのブームに乗ってITベンダーに買収されたところも数多い。一方で、親会社の傘下のまま、ITベンダーをしのぐ実力を付ける子会社も。
経緯や最新の経営状況は様々だが、金融危機やデフレ、親会社の都合に翻弄されながら生き延びてきた点は共通する。独自の取材と調査により、全国200社の「今」に迫る。

子会社の役割を果たしながら親会社に頼らず生き抜く術が見えてきた。国内外のIT大手に真正面から挑む気概と、技術力を持つことだ。NTTドコモ、大阪ガス、日本生命保険のシステム子会社を追った。

 「親会社の基幹システムのお守りばかりをしていると思われがちだが、外販比率は5割まで高まった」。ドコモ・システムズの西川清二社長はこう胸を張る。外販比率が5割を超えるシステム子会社は全体の1割以下とされる。

 ドコモ・システムズはNTTドコモの顧客情報管理システムや料金計算システムなどの開発支援や保守、運用を手掛けている。並行してハード販売の代理店事業なども手掛けてきたが、「付加価値が無い」として西川社長が2013年に社長に就いてから規模を縮小してやめたという。代わりに会計や人事給与、経費精算などの機能を備えるSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)の「dDREAMS」を売り出した。親会社のNTTドコモ向けに6万ユーザーを売っただけでなく、NTTグループにも16万人ユーザーを売り、NTTグループ以外の71社にも導入した。

図 ドコモ・システムズの事業概要
親向けの技術やノウハウをSaaSに取り込み外販
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dDREAMSの画面の例
(画像提供:ドコモ・システムズ)
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 西川社長はドコモ・システムズの社長に就任するまでNTTドコモのCIO(最高情報責任者)を務めていた。dDREAMSは西川社長がNTTドコモ在籍時代に開発に携わった経営管理システム「DREAMS」と情報共有基盤「DiSH」をまとめたサービスである。

 「DREAMSとDiSHをいただけませんか」。西川社長は2013年にドコモ・システムズ社長就任の辞令が出たのをチャンスと見て、NTTドコモの加藤薫社長(当時)にこう直談判した。一瞬の沈黙の後、加藤社長は「分かった。持っていけ」と答えたという。

 西川社長の考えはこうだ。「顧客情報管理や料金計算はドコモ固有のシステムで競争力の源泉でもある。一方、勤務管理や情報共有の機能は汎用的で、一般企業にも広く使ってもらえるはずだ」。DiSHとDREAMSをドコモから切り離すと子会社が強力な商材を手に入れられるだけでなく、親会社は本業を支えるシステムに集中できる。

 dDREAMSは狙い通りにユーザーを増やした。特にセキュリティの機能が評価された。導入先の企業は社内システムからインターネットへの接続をdDREAMS経由とすることで接続部分のセキュリティ対策を丸ごとアウトソーシングできる。

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