RPA導入をスムーズに始めたいのなら、現場の巻き込みが欠かせない。効率化の対象業務を詳しく知るのは現場の担当者だけだからだ。デジタル教材や動画も駆使して、RPAの「威力」を示したい。

 RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の始め方は大きく2つある。現場の業務担当者が自動化すべきPC作業を見極めたうえで自らソフトウエアのロボット(ソフトロボ)を開発する「ボトムアップ」のアプローチと、IT部門などがコンサルティング会社など外部の力を借りながらRPAを全社的に導入していく「トップダウン」のアプローチだ。

 業務現場のPC作業が多岐にわたるような場合は、ボトムアップのアプローチが向いている。その実例が鉄鋼総合商社のメタルワンだ。

 同社は新規ビジネスなどの検討余力を生み出す働き方改革の一環としてRPAを導入し始めた。同社が扱う鉄鋼関連商品は、自動車や造船、建築向けと多岐にわたる。部署によって取り扱い製品が異なることもあり、これまでも部署それぞれが工夫を凝らして業務を進めてきた。そうした背景もあって、「現場の業務に精通した担当者が自らソフトロボを開発するのが最善」(メタルワンの齊藤桂司経営企画部業務改革・DI室長)と判断した。

「ロボコン」で170台量産

 とはいえ現場の業務担当者がRPAに注目してくれるとは限らない。そこでメタルワンは業務担当者のRPAへの関心を高めるために、社内でロボットコンテストを開いた。第1回のコンテストは2017年8~11月に開催した。参加者には8月に1カ月かけて、同社が採用したRPAツール「WinActor」の使い方などの研修を受講させた。そして9月から3カ月の期間でソフトロボを開発させ、優秀者を表彰した。「開発期間を区切ることで、忙しい社員もRPA開発に集中してもらえるようにした」(業務改革・DI室の安藤友紀氏)。

図 メタルワンが取り組んだRPAのボトムアップ導入施策の概要
社内イベントを機に70台以上のソフトロボが誕生(写真・画像提供:メタルワン)
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 研修で特に重点を置いたのは現状のPC作業を示す「As Is」や、RPAを組み込んだ後の作業である「To Be」を文書にまとめる方法だ。RPAを適用する作業を見極めたり、自動化するPC作業を記述したりするのに欠かせないが、業務担当者には不慣れな作業だ。業務担当者に対して「箇条書きでもかまわないので業務の流れを書き出すようアドバイスした」(同社の業務改革・DI室の小林玲子氏)。

 コンテストの結果、2017年に79台のソフトロボが完成する成果を得た。年間で6000時間分のPC作業の自動化を見込む。2018年度も第2回のコンテストを実施し、新たに93台のロボが完成。年間1万時間分のPC作業を自動化できると見積もる。

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