見込み客から訪問のアポイントを取り付けた。初回訪問の最終目的は製品・サービスの導入意志の確認だ。同意を得やすくする会話テクニックを駆使しつつ、顧客からの信頼を勝ち取ろう。

 この連載ではSEから営業職に転向した人に向けて、SEの強みを生かした「ロジカルセールス」の進め方を筆者の経験を基に説明しています。

 前回から、見込み顧客への訪問の進め方を取り上げています。初回の訪問で「製品・サービスの導入意思を確認し、合意を得る」ことを目的として、その実現に向けたストーリーとテクニックが大切になるとお話ししました。

 初回訪問時のストーリーは「その1:環境を準備する」「その2:価値を提供し、相手のニーズを把握する」「その3:導入意思とスケジュールを確認・合意する」と説明しました。

 今回は「その1:環境を準備する」の詳細ストーリーである「1-2:訪問趣旨の説明と確認」と「1-3:訪問内容の説明と実施内容の選択」で、テクニックをどう生かすのかを見ていきます。

 ここでは、2つのテクニックを使います。1つはこの連載で既に説明した「契約行為」です。相手と合意を取りながら話を進めるやり方を指します。

 もう1つが「セットでの確認」です。相手に「同意してもらいたいこと」の前後に、相手が同意しやすいフレーズを入れるやり方です。これにより、「同意してもらいたいこと」に対してイエスと言ってもらいやすくなります。具体例で説明しましょう。

 初回訪問時、まず以下のように話を切り出します。

 お電話でやりとりさせていただいた通り、XXXシステムの導入を検討されておられるXX工業様に、弊社製品を紹介するために伺いました。(A)

 一見、普通の内容に思われるかもしれませんが、ここでは、アポを取った際に約束した内容を今回実施することを伝えます。つまり「契約を履行する」と宣言しているのです。

 弊社製品の詳細を説明させていただきますので、貴社にてご検討されている内容に弊社製品が合うかどうかご確認をお願いします。(B)

 その後、今回の訪問の最終目標を相手と合意します。これは「契約行為」そのものです。

 ご質問がありましたら説明途中でも結構ですので、遠慮なくおっしゃってください。よろしいでしょうか?(C)

 堅苦しくない言い方で、質問を促しています。

図 「訪問趣旨の説明と確認」の会話例
同意しやすい内容を入れて「イエス」を引き出す
[画像のクリックで拡大表示]

 ここでは「セットでの確認」のテクニックを使っています。最初に(A)で、「弊社製品を紹介するために伺いました」と契約の履行を宣言しており、最後の(C)で質問を促しています。この2つのフレーズはどちらも相手からの同意を引き出しやすい内容です。(A)や(C)の内容で異論を唱える相手はまずいないでしょう。

 ポイントは同意を引き出しやすい(A)や(C)で、(B)の「貴社にてご検討されている内容が弊社製品に合うかどうかご確認をお願いします」を挟んでいる点です。

 (B)が最も同意してもらいたい内容です。こちらからの問いかけは最後の「よろしいでしょうか?」なので、相手がイエスと言えば(A)(B)(C)全ての内容について同意を得たことになります。こうして(B)の内容についても同意してもらいやすくしているのです。

 もちろん、こうしたストーリーとテクニックを駆使しても常に相手から合意を得られるとは限りません。「すぐには判断できないので、今日は一旦話を聞くだけにさせてください」と切り返されるケースもあるでしょう。

 それでも問題はありません。テクニックは1つだけではありません。複数のテクニックを組み合わせて受注の確度を上げていけばよいのです。

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