ヒューマンエラーが起きる大きな原因は「バラつき」にある。同じ仕事でも、条件が少し変わっただけでミスが発生する。変化に弱い業務はすぐ見直し、「ミスに気付ける」仕組みを入れる。

 企業ではミスが発覚すると「誰のせいだ?」と犯人探しが始まる。そして往々にして「ミスした担当者が悪い」という結論に至る。失敗の原因を当事者のせいにしてしまう。

 しかし、当事者や関係者と一緒にミスの原因を探ってみると、「誰が失敗してもおかしくない状態だった」ことに気付く。今回はたまたま担当者が足をすくわれただけだ。

 原因を探ると、「依頼された仕事の特殊事情を管理職が担当者に伝えていなかった」「管理職がレビューするポイントを関係者と打ち合わせしていなかった」といったケースが散見される。

 こうした管理職は「仕事完了の報告を受けた段階でレビューするから大丈夫」とタカをくくっている。中には、管理職が条件変更を指示したにもかかわらず、レビュー時に変更した内容をチェックしていないようなことも見受けられる。

 いつもと条件や仕事のレベルが異なるのに、普段通りに業務を進めてしまって、ミスに至る。どんな企業にも当てはまる、非常によくある失敗パターンだ。

チェック項目を増やしても防げない

 多くの会社や職場ではミスが起きると「チェック項目を増やす」「作業手順を見える化する(手順書を作る)」といった対策を打つ。だがその対策で同じ失敗を食い止められるだろうか。一口に条件が異なると言っても、種類はさまざま。状況は刻一刻と変化していく。

 では、今後起こり得る条件の変化まで盛り込んで、全てを網羅したチェックリストを作ったとする。それで何とかカバーしようとしても、恐らく破たんする。膨大なチェック項目になるのは目に見えている。

 数が多くなれば、今度はチェック項目の見逃しが発生しかねない。担当者が確認できる項目数には限界がある。

 手順書の作成にも同じことがいえる。事細かく記述すると、実行時に抜けや漏れが発生する可能性が出てくる。だからといって、社内外の有識者を巻き込んで作業手順のレビューをし、抜けや漏れを事前につぶしておいても効果は薄い。

 そもそも全ての違いに気付ける人材を確保するのは難しく、現実的とは言えない。

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