売り上げ拡大につながる新たな商品を企画、販売するには、他にはないオリジナルな価値を持たせ、その価値を分かりやすく伝えることが重要だ。「商品価値4項目分析法」を使い、魅力的な商品を設計するノウハウを学ぼう。

 「西部課長、当行の商圏にある御岩(みいわ)神社の参拝客を増やす良いアイデアはありませんか?」

 システム企画室の岸井雄介は昼食後に喫茶室でコーヒーを飲んでいた経営企画課長の西部和彦に聞いた。

 「御岩神社か…日本神話に出てくる戦いの神様を祭る山岳神社で、10年以上前にパワースポットとしてテレビで大々的に紹介されたよな。最近は参拝客が減ったのか?」

 「そうなんです。御岩神社の門前町は30以上の土産店や食堂があって古くから栄えていましたが、近年は他の神社に客をとられ、商店街の売り上げも大幅に下がっています。今後、参拝客を増やして売り上げを増やさないと、歴史ある御岩神社の商店街はじり貧になります」

 「でもな、不便な門前町で客を集めるには、商品に相当の工夫がいるぞ」

 「課長もそう思いますか。川村さんからも同じことを言われました」

 「新規ビジネス企画課の管理職の川村典子担当課長か?」

 「そうです。川村担当課長に御岩神社門前町の商店街売り上げ拡大について説明したら、『商品の魅力が弱い』って不満そうなんです」

図 商品の魅力が弱いプレゼンの例
他にない魅力的な特徴を備えた商品を企画する
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 岸井雄介は35歳、西日本の地方銀行A銀行に入社以来システム開発に従事し、現在はシステム企画室の課長補佐である。最近A銀行が買収したFinTech子会社F社の企画部と兼務になり、さらにグループ横断的検討プロジェクトのメンバーになった。

 西部和彦は37歳、A銀行でシステム企画の仕事を長く担当し、多くの仕事を成功させてきたエース人材で、岸井の大学の先輩でもある。出向していたITコンサルティング会社から復帰し、多くの仕事を成功させた貢献が認められ、経営企画課長に昇進した。

 岸井は現在、新規ビジネス企画課と共同で、北近畿に古くからある御岩神社の参拝客を増やし、門前町にある商店街の売り上げを向上させる企画を検討している。

 関西の地方銀行であるA銀行の商圏には多くの神社や仏閣が存在するが、特に日本の神話に登場する戦いの神様を祭っている御岩神社は、これまで全国から多くの参拝客を集めてきた。

 10年以上前には、テレビの情報番組のコメンテーターを務める著名な芸能人に「運気が強くなるパワースポット」として紹介され、芸能人やスポーツ選手、ネットベンチャー系のカリスマ創業者などが相次ぎ訪問し、参拝客も急増した。最近は海外からのインバウンド客にも知られるようになった。

 しかし、山岳神社で交通の便が良くないこともあり、ブームが沈静化したあとは、国内の参拝客、海外からの旅行者とも減少している。

 そこでA銀行は状況を改善するため、鉄道会社と連携してキャンペーンを実施し、都市部から神社直通バスを運行させた。この結果、参拝客は1割ほど増加したものの、門前町商店街の売り上げ増にはつながらなかった。

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