GAFAと呼ばれる米IT大手は人々の日常に深く入り込み、日本を含む世界の様々な市場を次々と独占している。GAFAの強みともろさを検証する。

プラットフォーマーの脅威は市場の席巻にとどまらない。政治キャンペーンへの悪用など深刻な社会問題を引き起こしつつある。台地(プラットフォーム)から大地(グラウンド)へ、ポストGAFAに向けた挑戦が始まる。

 デジタルギャング──。プラットフォーマーをこう呼ぶのは英下院議会の「デジタル・文化・メディア・スポーツ委員会」だ。

 同委員会は2019年2月、108ページに及ぶ報告書「偽情報とフェイクニュース」を公表。「フェイスブックのような企業が法を超越した存在と自らを捉え、デジタルギャングのように振る舞うのは許されない」と批判し、フェイスブックがプライバシー保護法や競争法に意図的かつ意識的に違反したと結論づけた。

データを不正共有し「政治に活用」

 プラットフォーマーによる個人データの取り扱いがビジネスどころか民主主義の脅威になる。こうした批判が世界中で巻き起こっている。顕著なのが英国だ。データ保護監督機関の英ICOは2018年10月、重大なデータ保護法違反があったとしてフェイスブックに50万ポンド(約7200万円)の制裁金を課したと発表した。

 ICOの調査によると、フェイスブックは英ケンブリッジ大学教授が開発した性格診断アプリの利用者やその「友達」など約8700万人のデータを収集。データの一部を、データ分析会社の米ケンブリッジアナリティカの親会社であるSCLグループを含む他の組織と不正に共有していた。

 ケンブリッジアナリティカは米国の政治キャンペーンに関わっており、2016年の米大統領選挙でトランプ陣営の選挙活動に共有データを利用したという。2016年6月に実施された英国のEU離脱を問う国民投票でも、利用者の行動履歴データを政治キャンペーンに利用したとICOは指摘している。

 広告収益など利益の最大化を目的としたプラットフォームのアルゴリズムが社会に影響を与えるとの指摘は数多い。アルゴリズムが利用者の感情に働きかけやすい内容を表示するからだ。インターネットの利用者がブラウザーを使うと、過去に検索したワードや訪問したことのあるWebサイトに関連する広告が増える。SNSでも同様の現象が起こる。利用者は自分と同じ主張ばかり見て確信を深める「エコーチェンバー効果」や、偏った情報しか手に入らない「フィルターバブル」と呼ばれる状態に置かれやすいと言われる。

 2018年9月、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は50万人を超えるミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャへの迫害を巡って440ページもの調査分析報告書を公表。フェイスブックなどのSNSがロヒンギャへのヘイトスピーチや偽情報を伝播する役割を果たしたと指摘した。

図 「ロヒンギャ問題」に関する包括的な調査分析報告書
ビジネスにとどまらない、プラットフォーマーの影響力(画像出所:国連人権高等弁務官事務所(OHCHR))
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 ミャンマーは通信事業の自由化によりスマートフォンで使えるSNSが急速に普及し、フェイスブックの公式ページが国軍司令部を含む政府機関の主要な情報発信の場になっていたという。フェイスブックは国軍最高司令官らの利用停止や不正投稿の削除強化といった対策に追われた。

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