GAFAと呼ばれる米IT大手は人々の日常に深く入り込み、日本を含む世界の様々な市場を次々と独占している。GAFAの強みともろさを検証する。

GAFAによる不公正な取引や租税回避の動きを規制しようと、各国政府が動き始めた。だが既存の縦割り規制や国別のルールでは太刀打ちできない。近代社会を揺さぶるGAFAと、国家とのガチンコ勝負の行方に迫る。

 「GAFAをはじめとする起業家が狙ってきたのは制度ハックだった」と増島弁護士は指摘する。制度ハックとは、それまであまり注目を集めていなかったネットワーク効果や個人データなどの重要性に注目して最大限利用するという意味だ。

 現在の法制度で、プラットフォーマーを規制するのは難しい。「ネットワーク効果が世界規模で威力を発揮する状況を前提にした規制は世界のどこにもなかった」(増島弁護士)。

 しかもプラットフォームの運営企業は多様な収益源を持ち、一部は無料だ。独占禁止法など既存の法制度では、どの市場を独占しているのか捉えにくいという問題もある。

 データについては、既存の法制度で規定しているのは個人情報保護法の「個人情報」と不正競争防止法の「営業秘密」だけだ。千葉教授は「民法では不動産や動産、債権しか財産権を考えていなかった」と指摘する。多様なデータが経済財として価値を持つ状況は想定していなかったわけだ。

6月までに規制の方針案

 プラットフォーマーの独占に対応できない既存の法制度を問題視し、新たな規制を設ける動きが始まりつつある。経済産業省や公正取引委員会、総務省の3機関合同の有識者会合「デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会」は2019年2月、プラットフォーム規制の方針を6月までにまとめて政府の成長戦略に盛り込む方針を公表した。

図 各省庁におけるプラットフォーマー規制の検討状況
プラットフォーマー規制に乗り出した日本政府(出所:各省庁の資料を基に日経コンピュータ作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 同検討会は2018年12月に「プラットフォーマー型ビジネスの台頭に対応したルール整備の基本原則」をまとめた。プラットフォーマーを「革新的なビジネスを生み出し続けるイノベーションの担い手」と位置付けつつ、ルールやシステムの不透明さが「不公正な取引慣行やプライバシーの侵害などの温床となるおそれがある」と明記した。

 公正取引委員会は2019年1月、Webサイトに取引実態や利用状況の情報提供窓口を設けた。同時に、ECやアプリストアを利用する事業者を対象とした調査を始めた。出品者にポイント還元の原資を負担させるのは優越的地位乱用の可能性があるとして、アマゾンジャパンなどEC運営企業の一斉調査に乗り出すとも報じられている。

 政府がプラットフォーム規制に乗り出す理由は他にもある。税の問題だ。自由民主党IT戦略特別委員会の委員長代理を務める平将明衆議院議員は「国内で利益を上げているのに課税できていない」と指摘する。

 GAFAなどは日本を含む世界各国で巨額の利益を上げながら、法人税率の低いタックスヘイブン(租税回避地)や低税率国を活用して税の負担を回避していることで知られる。

この先は有料会員の登録が必要です。「日経コンピュータ」定期購読者もログインしてお読みいただけます。今なら有料会員(月額プラン)が12月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら