受け身から提案型の活動へ――。保険会社の調査員、IT保守員、自衛隊員が対応力に磨きをかけている。イオンは次の災害に備え、避難所付きの「防災モール」を設けた。

 被災地にいち早く駆けつけ、被災者を支援する使命を負った企業や団体がある。被災者と向き合い、寄り添い、助ける。こうした使命を達成するために、優れた方法を模索し続けている。

「連絡をもらう」から「連絡する」へ

 損害保険ジャパン日本興亜は災害が起こった現場でドローンやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を使って、保険対応のスピードを上げる試みを進めている。

 2017年7月に起きた九州北部豪雨。同社の社員は発災後5日目には現地に入り、約2.5キロメートルに渡る立ち入り禁止地区を上空からドローンで撮影した。撮影した情報はすぐに3次元化して被害状況を把握。自社の保険加入者の住所などの情報と照らし合わせて、被害者から連絡が来る前に損保ジャパンから連絡をした。

 「この試みは保険業者としてエポックメイキングなことだった」(損保ジャパンの高橋良仁保険金サービス企画部損害サービスグループ技術部長)。通常、保険会社は災害に際し、被災者から連絡を受けてから対応する。従業員が地図を持って現場を訪ね、調査をして損害額を確定するため、支払いまでに3~4カ月を要することもある。「屋根に穴が空いていれば、屋根に上って写真を撮影する必要がある。大規模災害においても同じで、文字通り人海戦術だ」(高橋技術部長)。ドローンを導入したことで調査期間を短縮でき、九州北部豪雨でも約1週間で支払いを完了できた。

 2018年6月の大阪北部地震からはRPAを使った効率化も進めている。大規模災害時における保険金の支払い作業は、おおよそ事故1万件につき120人程度を必要とする。緊急対応となるため派遣スタッフがほとんどを占めることもあり「『ほぼ素人集団』になることも少なくない」(損保ジャパン保険金サービス企画部損害サービスグループの寺沢匡人課長代理)。保険金の支払いを担う基幹システムの操作を教えるだけで時間が過ぎてしまうこともあった。

2018年7月11日に西日本豪雨における被害をドローンで現地調査する社員(写真提供:損害保険ジャパン日本興亜)
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図 損害保険ジャパン日本興亜のドローンとRPA活用
被害状況を把握し迅速な保険対応に役立てる
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 事故の経緯の登録、請求書の発送、損害の認定、入金口座の登録などをRPAに任せることで、最大合計1時間の作業を10分程度に短縮。大阪北部地震全体で約450時間分の削減効果があったという。

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