情報システムのプロフェッショナルに必須の思考がある。物事を俯瞰(ふかん)し、「全体をとらえる」ことだ。論理と知覚の両方を年始からトレーニングしよう。

 年始は多くの人が「今後何に取り組もうか」と考える。情報システムのプロフェッショナルであれば、開発案件の先行きや日々の運用と保守、経費削減、部下の育成、自分の能力向上、あるいは全く新しい取り組みなどがお題になる。日ごろから気にしていることを年始にわざわざ追求しても仕方がないから、視野を広げ、大きく考えたい。

 そのためには「全体をとらえる」思考が求められる。あるお題に関して空間と時間の双方について俯瞰し、考え抜く。役職や立場にかかわらず、全てのプロフェッショナルに必須の考え方だが、日々の活動においてはどうしても目の前の、直近のことばかり検討してしまい、部分しかとらえられなくなる。

 従って「全体をとらえる」思考の訓練が欠かせない。プロジェクトやリスクのマネジメントを支援するコンサルティング会社であるプロジェクトプロの峯本展夫氏が提唱する「全体をとらえる」トレーニングの中から4点を紹介する。最初の2点はどちらかというと論理思考を、後の2点は知覚をそれぞれ鍛えるものである。

思考の階段】目的と手段の区別を明確にする習慣を付ける。目的は必ず手段より上位にある。ある事象より上位にある目的を考える。その目的はさらに上位にある目的の手段であったりする。このように上位の何かを考え続ける状態を峯本氏は「思考の階段を上る」と呼ぶ。任意のお題を決め、「思考の階段」を見いだし、上がっていくことがトレーニングになる。さらにそのお題については誰か相手を思い浮かべ、自分の階段、相手の階段をそれぞれ見極めてみる。

 例えば情報システム部門長が2019年に始める開発プロジェクトの目的を考えるとしよう。販売管理システムが古くなり業務の実態に合わない、という営業部門からの指摘を受け、再構築が決まっている。階段を一段上がり、「情報システム部門が管理しているシステム群の中で販売管理システムを作り直す目的」を考えてみる。「製造部門、営業部門の業務連携に向けたシステム見直しの試金石」という目的があるかもしれない。さらに企業全体、場合によっては業界全体の中で考えてみると、より上位の目的ないし意義が見えてくる。

 これは情報システム部門長の考えであり、営業部門長はおそらく別の階段を持っているから、それを想像してみる。「営業体制を次年度から見直すのでその前にシステムを新しくしたい」「営業体制を見直すのは主力製品の販売をテコ入れするため」といったように階段を上がっていく。二つの階段を突き合わせると、販売管理システムの再構築にあたってやるべきことのうち、企画書にまだ入っていない何かが見えてくるかもしれない。

この先は有料会員の登録が必要です。「日経コンピュータ」定期購読者もログインしてお読みいただけます。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら