顧客を中心に据えて経営するための10の指針を紹介する。将来を担う人材を選び、「企業設計」をしてもらう。設計されていなければ改善も本来できない。

 「顧客中心主義経営に飽和点はなく、最新の企業設計に基づき、毎年の状況変化に対応し、自ら変化していかなければならない」

 一般社団法人CRM協議会の藤枝純教会長は2019年10月29日に開かれた「2019 CRMベストプラクティス賞表彰式」で講演し、こう述べた。

 藤枝氏とCRM協議会は顧客中心主義経営を進めるためのガイドや成熟度モデルを提供してきた。今回は「顧客中心主義経営アーキテクチャ・プリンシプル(指針)」を発表した。アーキテクチャ・プリンシプルとはエンタープライズアーキテクチャー(企業設計)の用語で「アーキテクチャーによって満たされるべき意図の定性的記述」を指す。以下で10の指針を紹介する。

顧客中心主義経営の企業を設計

 顧客中心主義「経営」という以上、取り組みにあたっては取締役会の意思決定が求められる。方針の確認だけではなく、そのための組織を設計し、動かしていく、と決めなければならない。

1.経営の意思決定(経営企画の担当役員とIT企画の担当役員が音頭をとり、顧客中心主義のデジタルエンタープライズを設計する活動について取締役会に上申し、タスクフォースの設置とそれをガバナンスするボードの設置の承認を取り付ける)

 エンタープライズアーキテクチャーという言葉を持ち出すとその提案は取締役会を通らない危険があるが、何らかの再設計が不可避であると理解してもらわないといけない。

2.タスクフォース人選(営業・マーケティング、生産・技術・研究、経理・財務、人事といった各部門から2人ずつメンバーを選ぶ。2人は28歳から37歳の若手と38歳から47歳までの中堅。いずれも将来を託せる人材を充てる。デジタルエンタープライズの設計期間、メンバーは日々の活動の5割をタスク活動に割く。設計に先だってエンタープライズアーキテクチャやビジネスモデリングの手法の概略説明を受ける)

 これまた一般の日本企業にとってハードルが高い指針である。どんな企業にも該当する人材はいるはずだが、それを実際に集めるのは大変だ。だがここができないと以下に進めない。

3.エンタープライズ設計(タスクフォースメンバーが2030年における企業の姿を描き、そこに移行するための中長期経営計画を立てる。何を誰がどのように変え、何を誰がどのように売るか、その価値は、コストは、リスクはいくらなのか、といったことを議論する。議論の結果を事務局がその場でビジネスのモデルとして図示し、出席者が確認する。設計作業においては業種別の未来を語れるコンサルタントや学者など外部の人材の協力を仰ぎ、変革の視点と先行企業の取り組みを学びつつ進める)

 経営ビジョンの見直しや経営計画の策定で類似の活動をした企業はあるだろうが、メンバーが共通の言葉を理解し、一定のルールに従って成果物をまとめないと設計とは呼べない。

この先は有料会員の登録が必要です。「日経コンピュータ」定期購読者もログインしてお読みいただけます。今なら有料会員(月額プラン)が2020年1月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら