1000冊の背表紙を眺め、「これは」と思う特集を5点選んだ。技術が変わっても成功のカギは人が握り続ける。人は何かを創る。人である以上、苦労と失敗は絶えない。

 本欄の趣旨は「社長」に代表される経営陣あるいは事業部門に対して情報システム部門やIT企業にいる「IT専門家」がどう働きかけたらよいのか、「対話術」を考えることだが今回は番外編になる。「日経コンピュータ1000冊の背表紙を眺める会」に参加したので印象に残った特集5点を挙げ、思うところを書く。この会については本号フォーカス「1000冊から学ぶ情報化の神髄」で詳しく紹介している。そちらも読んでいただきたい。

 眺める会の現場には創刊準備号を含め1000冊もの日経コンピュータが頑丈なスチール棚に並べられていたが5点の特集が掲載された号を自分で取り出したわけではない。そもそも棚にはなるべく近づかないようにしていた。会合の参加者を優先したからだが、実は1000冊を眺めた途端、感無量になり、1冊1冊取り出し始めたら幹事役を果たせなくなると思ったからである。

 棚から離れていたのになぜ選べたのか。会合の参加者が背表紙に印刷された特集の題名を見て「こんな特集があった」と次々に取り出すので表紙や特集の題名が目に入ってきた。「ああ、その特集に(私は)関わりました」と応じた記事の中から5点を選んだ。

1985年7月8日号
ICカード時代は来るか

 この特集が気になった理由は単純である。筆者が初めて書いた特集だったからだ。「ICカード」は死語だがICチップを内蔵したプラスチックカードを指す。チップに金額情報を入れ、それを使って決済する。早い話がSuicaのようなものである。34年前、こうしたキャッシュレス決済の実用化が話題だった。

 「来るか」という題名にしたが実際には来なかった。理由は簡単でICカードを読み取る機器を店頭に設置する費用を、店も利用者もカード発行者も負担できなかった。この後も何回かICカードの実用ブームは来たがそのつど実験で終わっていた。JR東日本が改札自動化に踏み切り、そこにSuicaを使ったことで多くの利用者がICカードを持つようになり、一般店舗にも読み取り機器が置かれるようになった。

1995年12月25日号
Wintel時代の終わり

 「こんな題名の特集があったのですね。実際には終わらなかったですが」と1000冊閲覧の会合参加者に言われてしまった。Wintelもほぼ死語だがWindowsすなわちマイクロソフトとインテルの連合を示す造語だった。PCとPCサーバーによるクライアント/サーバーが情報システムの基盤になったものの、ネットワークの時代が来てWintelが基盤市場を牛耳る時代は終わる、といった内容だった。

 ネットワークの時代は確かに来たが、マイクロソフトとインテルはサーバー市場で引き続き重要な位置を占め続けた。

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